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QE3: 3度目はとことんやります

ポピー

先週木曜日、連邦銀行が3度目の量的緩和政策(Quantitative Easing)に乗り出すと発表。人呼んでQE3。

具体的には、連銀が$40ビリオン相当のAgency Mortgage-Backed Securitiesを『毎月』買うという政策。

FMOCの声明文には、今年当初からのアメリカの雇用の伸び悩みとそれが新たな不況に繋がる可能性について、連銀が深刻に憂慮している様子が読み取れる。

連銀には①価格レベルの安定と②完全雇用の達成という二つの使命がある。インフレ率は連銀のターゲットである2%辺りを達成しているが、現在の8%台のUnemployment Rateは何とも高すぎるということらしい(アメリカでは歴史的にはUnemployment Rateが5~6%辺りを完全雇用と呼んでいた)。

現行のOperation Twist(短期連邦債を長期連邦債に買い換える政策)も、今年末までQE3と同時進行する予定で、しばらくはパジャマのズボンもずり落ちそうなほどユルユルの金融緩和政策になる。

QE1やQE2と違い、債券購入総額も終了時期も最初から決められていないのが、このQE3のミソ。声明文にも、『労働市場の見通しが大幅に改善しない間は』、QE3の債券購入を続けると書かれている。つまり「雇用回復の結果出るまでとことんやります」ってことですね。

これまでは、一定範囲内のインフレ率を達成することが連銀の政策指針(Inflation Targeting Regime)だったので、「大幅な雇用回復」を積極介入政策の指針にするするだけでも、連銀の大きな政策転向。これは、連銀がNominal GDP Targeting Regimeに移行しつつある証拠だと言う人もあるのだけど、本当のところはどうなんでしょうね。

パーソナル・ファイナンスの視点で見ると、モーゲージの金利がさらに下がる可能性が出てきた。住宅市場活性化はQE3が雇用回復につながる重要なリンクでもある。今さら「金利が下がったから家を買います」という消費者が居るのかどうかは疑問だけど(どちらかというと銀行の貸付基準やJob Securityの方がネックだと思うので)、この低金利は不動産投資家なんかには良い環境かもしれない。

また、2014年まで低く押さえるといわれていたFederal Fund Rateも、今度の声明では「2015年半ばまで」と言い換えられている。Federal Fund Rateは連銀の政策をシグナルするので、少なくともあと3年ぐらいは金融緩和政策が続きそうということ。

QE1とQE2の後は、Commodity価格が高騰したが、欧州が不況に入り、中国経済の成長が減速している今回は、それは起きないのではとも言われている。つい最近も、経済成長を見込んで輸入された銅や鉄鉱石が中国の港や倉庫で大幅にダブついているというニュースがあったばかり。

Chee 2012/09/18(火) - 08:04

来ましたね~。これがどこまで効果あるのか楽しみです。それとも慢性化して日本みたいな展開になるのか?
我が家にとって一番いい展開は、モーゲージ金利がさらに下がって、2015くらいに、このスウェットエクイティ&更なる低金利でムーブアップするチャンスが訪れるってのです。^^
それまでの投資をどうするか。今はそれが課題です~。
低金利がずっと続くってことですもんね。

ポピー 2012/09/18(火) - 11:47

>Cheeさん

3年後にMove-up計画ですか。いいですね♪

政策の成功シナリオは、皆が多少のインフレ危惧を持って、消費なり投資なりを急ぐ(先延ばしにしない)って展開だと思うんですが、果たしてどうなるんでしょうね?

日本みたいに、皆がお金をしっかり握って離さないままだったら、政策も鳴かず飛ばずに終わることになってしまうし。バーナンキ議長は絶対そうはさせないという決意が固いみたいですけど・・・。

ポピー 2012/09/18(火) - 19:23

>Nobuさん

そうそう、ドル安円高効果もありました。ドルが下がって輸出促進というのも、狙いの一つなんでしょう。

私は習慣からUS$1=100円で暗算する癖があるので、日本円で見ていた値段が後で実は25%位高かったのに気付いてうんざりすることがよくあります。

久美(ゲスト) 2012/09/19(水) - 00:52

アメリカ人は何だかんだでキリギリスなので、多少の経済効果はあるのではないでしょうか?

週末にモールに行くと、駐車場は満車、レストランも2時間待ちでした。ケチな我が家は、用事だけ済ませて家でいつもどおりの自炊をしましたが(子供達は文句ぶーぶー)、ほとんどのアメリカ人は2時間待ちの間、モールをぶらぶらして買い物をしてしまうようです。

そのモールにあるヨーロッパの某高級ブランド、日曜日は店を開けないのですね。わざわざ人手の多い日曜日に店を閉める、というマーケティング手法?に恐れ入りました。

ポピー 2012/09/19(水) - 12:07

>久美さん

本当に週末のモールの混雑を見る限りでは、「不況って何のこと?」って感じですよね。カリフォルニアの沿岸都市部周辺の景気は(あと、ワシントンDCも)アメリカでもちょっと特殊なのかなとも思ったりもするんですが。

でも、雇用の伸び悩みに比べると、アメリカのPersonal Consumption Expenditureは順調に伸びてるのは確かです。

キリギリスさん達も、QE3の御利益で、もうひと遊びできるんでしょうか?

久美(ゲスト) 2012/09/19(水) - 23:24

ポピーさん、

>カリフォルニアの沿岸都市部周辺の景気は(あと、ワシントンDCも)アメリカでもちょっと特殊なのかなとも思ったりもするんですが。

実は今日も用事があってモールへ行って来たのですが、、、駐車場は満車、高級デパートの紙袋を持っている人たちを沢山見ました。ウィークデーの昼間、お金持ちのハウス・ワイフなのでしょうか?!週末よりは人手は少ないですが、アメリカ人の購買威力はすごいです。

しかしカリフォルニアでも郊外に行くと、本当に寂れた町もあるので、一等地と言われるエリアだけの現象なのかもしれませんね。これが全米規模で消費が伸びると、アメリカの景気も良くなるのでしょうか。(ただし払えないクレジット・カードで買い物されても困りますが・・・)

Chee 2012/09/22(土) - 10:25

久美さん、それやっぱそのエリアが特殊だからですよ。
この辺は、ちょっと前よりは人増えていますけど、そこまで混んでいる感じはないですもん。
ボストンから離れた郊外だと、モールという形態自体が廃れてきている感じで、それほど古くもない大型モールがシャッターだらけなのも見ます。
消費力は上がってきているかもしれませんが、まだまだ安い方に人が集まっている感じですね。
この前、ウォルマートに行ったら、すごい混んでいてビックリしました。
普通のデパートはゆったり買い物できます。
スーパーでさえも、高いところはガラガラで、安いところは満車です。
割と景気の安定しているボストン郊外でこれですから、まだまだ全国規模だと厳しいところも多いんじゃないですかね?

Nobu 2012/09/22(土) - 12:22

失業率とかも州別で見るとかなり開きがありますよね。アメリカ全体の景気は、自分の住んでいるところや、ある一点(例えばモール)から感じる印象とは大きく違うこともあるのでしょうね。

QE3でじゃぶじゃぶになったお金は、今度はどこに行くんでしょうね。

久美(ゲスト) 2012/09/22(土) - 23:03

Cheeさんの仰るとおりその地域が特殊というのもあると思いますが、ポピーさんのご指摘のとおり格差が広がっているのだろうと思います。ロサンジェルスの中心地は高級車が結構行きかい、どこのお店も込んでいますが、そこから30分程度はなれた昔ながらの町(実際は渋滞がすごいので1時間程度)はシャッター街と化していて、For Sale(お店や建物自体)の看板を沢山見ました。

富が一極に集中する事によって、全体の足を引っ張っているような気がします。

ポピー 2012/09/23(日) - 20:09

カリフォルニアでも、住宅建設が唯一の経済成長のエンジンだった内陸部の町は、一部ゴーストタウンのようになっている地域もありますよね。

沿岸都市部周辺でも、バブル期にはこれからMiddle-Classの町になると期待されていた地域が、バブル崩壊でかなりのダメージを受けていることもある。

中西部・南部で、工場などの主要雇用主が撤退した町の話しなど聞くと、ちょっと圧倒されそうになります。

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