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ESPPデビュー記録: 追々記

jinmei

ESPP(Employee Stock Purchase Plan)に関する最初のエントリで、税金処理に関して1099-Bの内容が「不正確」なために税金の二重取られになる場合があるらしいという注意を書いた。実は最近の規制の変更(改悪と呼びたいが…)により、2014年からはESPPに関する1099-Bの内容は「常に不正確」になるらしい。

Pub 525の具体例の場合で考えてみると、

  • Offering date時の価格 $22
  • Purchase date時の価格 $23
  • 実際の購入時の価格 $20
  • 売却時の価格 $30

で100株売買したとすると、1099-Bのcost basisは実際の買値$20/株を元にした$2000になるらしい(ここでは手数料等は無視する)。この値をそのまま使ってキャピタルゲインを計算すると$1000ということになる。

一方、購入後すぐに売却したためholding period requirementは満たさなかったとして、会社の処理がちゃんとしている場合、W-2にはPurchase dateでの時価と実際の買値の差分である$300が給与として含まれることになり、こちらもそのまま使って申告すると、この給与分に対して二重に課税されてしまうことになる。これを防ぐためには、実際の申告においてcost basisを給与相当額だけ上乗せした$2300に修正する必要がある。

デビュー戦である筆者にとってはESPP関連の申告自体はじめてなので、このあたりの調整についてTaxACT がどの程度親切なのか(何か自動でやってくれるのか、そこまでいかなくてもQ&Aで注意してくれるのかとか)わからないのだが、おそらく自分で気をつけて手修正しないといけないような気がする。来春の申告の際にはまずこのことを思い出さないといけないし、その上で間違いのないように修正しないといけない。しかも1099-B記載のcost basisと違うということでIRSからつまらない(間違いの)突っ込みを受けて戦う必要が生じたりとかしないかも不安である。

ちなみに、この改悪改訂の一次情報は2013年春頃に発表された公報だと思われる。これによると、

brokers are not permitted to adjust basis to account for the exercise of a compensatory option that is granted or acquired on or after January 1, 2014.

だそうである。さらに、

This approach will eliminate confusion and uncertainty for an employee who has exercised a compensatory option. Under the permissive adjustment rule in the proposed regulations, without an indicator on Form 1099-B, an employee would not necessarily know whether the basis of the stock acquired through the exercise of a compensatory option had been adjusted by a broker to account for any income recognized by the employee due to the option exercise. By prohibiting adjustment by a broker, an employee will know that the basis number reported by the broker only reflects the strike price paid for the stock and that a basis adjustment may be necessary to reflect the full amount paid by the employee.

などとあり、ブローカー側での1099-Bの修正を一律に禁じることによって、employee側の処理が明確になって嬉しいはず、と言いたげだが、噴飯ものである。おそらく大多数の人が修正が必要なことに気づかずに二重取られしていることだろう。アメリカの税制は実に地雷だらけである…

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