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不動産バブルの犠牲者がこんなところに

F Fries

これまで半年、教会のレッスン室のオルガンでずっと練習してきたのだが、やはり練習用のオルガン(ペダル付き)が家に一台欲しいところ。オルガンの先生から「中古オルガンの広告が出てたよ。」とメールが来たので、実物を見に行くことにした。

売り主は六十代後半か七十代くらいの爺さん。わたしは世間話(small talk)があまり得意でないのだが、同行した同居人が聞き出したところを総合すると、オルガンは娘(?孫?)のためについ最近、中古で買ったもの。しかし今住んでる家を手放して近くに住む娘のところに身を寄せることになったので、そうなると置き場所がない。だから買ったばかりのオルガンを手放すのだと。

さらによく話を聞いてみると、どうやらモーゲージからwalk awayしようとしている様子。爺さんの家のある辺りはオマハのダウンタウンから離れた新興住宅街(と言ってもオマハは狭いので、ダウンタウンから車で20分ほどだが)で、いまだに新しい土地が売りに出ている地区。新築だって今なら住宅不況で投げ売りになっているだろうから、こんなところで築五年ほどの家を売るには相当時間がかかるだろうことが容易に予想された。

しかし!

この爺さんの家が築五年ということは、爺さん夫婦は六十代でおそらく普通のモーゲージを組んで、この家を買ったはず。その年で、新たに一軒家を買うという行為そのものに、住宅バブル時のメンタリティがありありと浮かんでくる。家の前に出ていた「売り家」の看板の不動産エージェントの名字が爺さんと同じ名字だったところをみると、どうやらこのエージェントは爺さんの娘(あるいは義娘)ではないだろうか?ということは、この家を買ったのも、彼女の勧めだった可能性がある。(「お父さん、老後資金を手っ取り早く増やすには不動産が一番よ。今(2005年頃?)、新築を買っても、お父さん、お母さんが介護が必要になるまであと10年か20年。その頃までには不動産は大きく値上がりしてるはずだから、お父さんたちが介護施設に行くときにこの家を売れば、介護費用は十分賄えるわよ。」*)

その上、モーゲージからwalk awayしている様子にもかかわらず、家の中には立派なクリスマスツリーが飾られ、ツリーの周りには孫のためと思われるクリスマスプレゼントがきれいにラッピングされて用意されていた。まあ、アメリカというのは見かけの立派な安物が簡単に手に入る国だから、クリスマスツリーやプレゼントを見て「こんなことにお金を浪費するなんて」と言いつらうのも何だが、これがやっぱりアメリカではよくある経済感覚なのかな?モーゲージよりもクリスマスプレゼントの方が優先順位が高いとは…

今日のNew York Timesにloan modificationに成功した夫婦の話が出ていたが、この人たちだってもともとバブルの頂点で頭金なし、変動金利で家を買って、モーゲージが払えなくなったのがトラブルの始まり。「この経験に懲りたので、今では1、2ヶ月のモーゲージ支払い分に当たる金額をsavings accountに入れておくようにしてます。」…ちょっと「お金」ってもんをなめてるんじゃない?

* これはわたしの勝手な想像です。事実を確認したわけではありません。

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