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米国税法改正案「Tax Cuts and Jobs Act」(12)「法人税率は結局21%?そして共和党議席は51に?」

Max Hata
前回のポスティングでは今週がいよいよ31年振りの税法改革可決に向けての天王山ウィークであるというところで終わった。また、タイミング的にはおそらく両院協議による法案の一本化は今週中に終わり、金曜日には最終法文原案が完成され、翌週12月18日から上院そして下院で一致案が決議に掛けられる予定である点にも触れた。

そんな天王山ウィークも早くも2日が終わり明日は水曜日。今日はアラバマ州上院補欠選挙でもある。今夜の速報によると89%開票時点で、民主党候補のDoug Jonesが49.6%の得票で、48.8%の共和党候補Roy Mooreを抑えて勝利宣言間近だそうだ。 え~、ってことは新上院議員が就任してしまうと上院の共和党議席は更にひとつ減って51となる。この選挙の税法改革に与えるインパクトは「米国税法改正案「Tax Cuts and Jobs Act」(9)「いよいよ両院すり合わせ – ここからの展開?」」を参照して欲しい。今日の開票結果を受けて22日には新アラバマ上院議員が就任するというタイミングで、税法改革はますますその前に終わらせておかなくてはならないということだろう。

さて、そんな天王山ウィーク。途中経過を報告するといろんなことがありましてとなるけど、明日の水曜日に形式的に協議会による公聴会のようなものが開かれる。しかしそこで両院すり合わせが行われるかと言うとそんなことはなくて、実際の協議は既に議会議事堂(Capitol)の一階会議室で連日連夜ほぼ秘密裏に行われいる。争点となっているのはBase Erosion Minimum Tax、なんてことは一切なくて、前から言っている通り、個人所得税の州税控除、住宅ローン金利、医療費控除、そしてパススルー課税の低減の拡充、などだ。法人税関係でほぼ唯一議論となってるぽいのは上院案に盛り込まれているAMTの温存策を何とか覆し撤廃に持ち込めないか、という点位かも。後、遺産税も上院案は廃止していないのでイデオロギー的にここも議論されているだろう。

で、前回までのポスティングで散々書いてきた通り、これら諸々の希望を実現させるには財源が必要となる。で、先々週の日曜日に法人税率22%の話しを書いたけど、WSJとかのメインストリームメディアでも20%から22%かそれが問題だ、のような記事が出始めている。その中で興味深かったのはMoody’sが投資家向けに行った説明会で、現時点でのMoody’sのBook上の実効税率は30%程度だそうで、これが1%低減する毎に一株当たり収益が7セントから8セント上がるという試算をしていた。したがって、仮に実効税率が20%になると70セントから80セント一株当たり収益を押し上げる要因となり、全体では$134M~$153Mの収益貢献があるとのことだ。これが22%となると一株当たり収益が14セントから16セント損することとなる計算となる。結構マテリアルな金額だ。

ところがここに来て、20%か22%かという話しではなく、最終的には21%で手を打つという話しも聞こえてきた。州税控除を復活させたり、パススルー課税を更に優遇するのはなかなか困難ということで、その代わりに個人所得税最高税率を37%まで低減して(現上院案38.5%、下院は$1M超は39.6%)、その分の財源を法人税1%アップで穴埋めするという案だ。個人所得税率は元々The Blue Printでは33%と言われていたので、37%でも高いけどね。というのは33%にする代わりに諸々の控除は撤廃してBase Broadeningということだったけど、フタを開けてみたら税率は余り変わらずBase Broadeningという酷い話になっている状態だ。

もうひとつのホットトピックと言える住宅ローン金利控除は下院案と上院案の中間を取って、住宅新規取得ローンの$0.75Mまでに対するものに限定するかもしれないという。$0.5Mと$1.0Mの中間だけど、なんか中学生でもできそうな交渉だね。

一致法案最終化まであと数日。どのようなものが出てくるのでしょうか?

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