ブログ

米国税法改正下院案「Tax Cuts and Jobs Act」一日遅れてやっと公表「速報」

本当に目にすることができるのか最後まで不安だった税法改正の法文原案429ページがついに下院歳入委員会から今日11月2日、予定より一日遅れで公表された。それにしても直前になって一日延期とかショボいというか、なかなか見せてくれた。内部情報によると法文をドラフトしている面々は最後の数日はシャワー浴びる時間も惜しんで24時間体制でドラフトしたということ。まるで大昔の会計事務所の申告期限前夜のような状況だ。結構な重鎮たちだろうに。歳入委員長のKevin Bradyも地元Houston Astrosのワールドシリーズにフォーカスできなくてこちらも気の毒だ。

そして今日2日、午前9時に共和党下院議員はLongworth下院ビルに集合し、そこでプレーオフでご機嫌のKevin Bradyがパワーポイントを使って改正の内容を説明した。パワーポイントっていうのが普通の企業のカンファレンスみたい。その中には1986年のレーガン大統領が税法改正の法律に署名した際に発した「まるでワールドシリーズで戦って米国市民が勝利したような気分だ」というコメントを引用していたという。Astrosの件があるので実にタイムリー。もしかしてワールドシリーズで一日発表を遅らせてた、なんてことはないよね?

で、肝心の内容だけど、ちょうどUKに出張して来たタイミングだったので、ミーティングの合間にピカデリーサーカスのカフェで簡単に法文を見れただけな点をお断りしておく。なので全429ページ詳細は明日のNYCへの帰りの飛行機で分析するとして、2018年から法人税は約束通り20%。直前に噂されていた5年のフェーズインはなくて一気に20%となる。設備投資減税は予想通り、5年の時限措置。支払利息に関してはほぼ予想通り、Section 163(j)で言うところの「Adjusted Taxable Income」、基本的にキャッシュベースのEBITDAの30%を超えるネット利息は損金不算入。ただし不算入部分は5年間繰越が認められる。個人オーナーがパススルーから配賦される「事業所得」は25%だけど、基本的に人的役務提供を業務内容としているパススルーは対象外で、すなわちその場合には通常の個人所得税率で課税されることとなる。NOLは繰越期限が撤廃され未来永劫繰越が認められる。The BlueprintにあったようにNOLの繰越には金利が付いて増えていくようだ、更に使用額は繰越年度の課税所得の90%に限定される。更にNOLの繰戻は撤廃。R&Dおよび低所得者住宅税額控除を除く諸々の恩典は撤廃。当然、Section 199の製造者控除も撤廃となる。

クロスボーダー系はテリトリアル課税への移行は約束通り10%以上海外子会社からの配当は0%課税。制度移行時に溜まっている海外子会社の配当原資に対する一括課税は現預金で持っている限り12%(結構高い!)で、それ以外は5%。未配当原資の累積額は2017年11月2日(今日)または2017年12月31日時点のどちらか大きな額を基にするとしている。つまり今からつまらない小細工は無用ということだ。

一方、個人所得税はクリントン政権、オバマ政権下の増税で追加された39.6%が温存されている。The Blueprintでは33%って言ってたのに。とても共和党案とは思えない大後退ぶりにビックリ。米国の高所得者は先進国でも一番所得税負担が重いっていう話しだけど、法人は直ぐにInversionしてしまうけど、個人は中々Expatriationしないもんね。

標準控除額は独身申告$12,000、夫婦合算申告$24,000と倍増されるものの、温存するとずっと言われていた住宅ローン金利個別控除は$500,000までの新規取得物件に対するものに限定される。NYCではそんな物件ないけどね。一方、州税の控除撤廃の代わりに認めると噂されていた不動産・動産税個別控除は$10,000を上限に温存されている。個別控除は後は慈善団体への寄付金のみが生き残っている。Unified Framework通り、人的控除は撤廃される代わりに子女税額控除は一人当り$1,600に増額、子女以外の扶養家族税額控除$300が新設される。一時は税引前控除がなくなるのではないかと危惧された401(k)、IRA、を含む退職金プランは温存される。法人、個人共に代替ミニマム税(AMT)は撤廃。

Level Playing Fieldと言われていた考え方の具体的な措置として、海外の関連会社への支払いに対する外形課税みたいな規定が盛り込まれている。これは日本企業にとって影響が大きいので明日、大西洋上で良く読んでみたい。