米国タックス行く年・来る年(4)税法改正とM&A

Max Hata 2016/12/25(日) - 22:15
前回のポスティングでは税法改正、特に税率およびどのようなタイプの所得が低税率の恩典を受けることができるか、という点のM&Aストラクチャーに与える影響を実際のディール例を見ながら考えてみた。この手の話しは決してアカデミックな話しで終わる訳ではなく、日本企業がM&Aを実行する際にターゲット株主の構成、また希望する課税関係をよく理解してストラクチャーを検討することの重要性を示唆している。

例えばWarren Buffet先生のBerkshireが絡んでいたバーガーキングのInversion取引。この取引に関しては今年の5月15日に「Inversion/インバージョン(22)「Inversion規則とBurger King」」というポスティングで少し詳しく触れているので詳細はそちらを参照して欲しいけど、あのDealは通常のInversion取引と異なり、カナダの持株法人の下にパートナーシップが組成される形で実行されている。どう見てもバーガーキングの旧大株主である3Gが株主レベルの課税を嫌がり、Section 367を逃れるためにSection 721でいける、すなわちSection 367の影響を受けない、パートナーシップへの出資扱いとなるストラクチャーを構築しようにみえる。なかなかCreativeなストラクチャーだ。

日本企業が関連するディールにもとてもハイテクなものもある。例えば1990年に松下がMCAを$6B以上で買収した際の取引だ。MCAの大株主の1人に当時77歳となるMCAの会長Wassermanという重鎮がいた。Wassermanといえばスピルバーグの師匠と言われる位だからハリウッドの長老である。そんな彼の持つMCA株式は簿価が低く、Wassermanは課税取引で株式を売却することに難色を示していた。当然、年齢的に株式を相続させることができれば、その時点で簿価がステップアップするという読みもあっただろう。ちなみにWassermanはこのディールの12年後となる2002年にビバリーヒルズで息を引き取っている。

そんなハリウッドの大物が非課税を望むケースでは、どのような手法を駆使してでも取引の彼の部分は非課税とするのが、会計事務所、弁護士事務所、投資銀行の使命となる。買収が成功すれば高いFeeを受け取ることになる投資銀行にしてみれば特にそうだろう。そこで、Wassermanが非課税で売却に参加できるよう、WassermanはMCA株式を新設法人に現物出資し、その替わりに優先株式を受け取っている。このイノベーティブなSection 351の適用で持分継続とか気にすることなくWassermanの部分は非課税とすることができているストラクチャーとしているところが特徴だ。この手法はその後1997年にSection 351の改正、すなわち(e)と(g)の追加、で同じ形では再現できなくなっているが、姿かたちを変え脈々と生き続けている。

となぜか又してもM&Aの話しに終始してしまったけど、次回こそ2017年に考えられる税法改正に関して。
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