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三軒目の家(4)〜予算

F Fries

45万ドル。これがあちこちの口座の内容を検討し、ローンの支払いと給料のバランスを考え抜いた末に達した家の予算である。

わたしの場合、非常にラッキーだったのは、一軒目のDC郊外、メリーランドの家で相当なエクィティを築くことができたという点である。買った当初は20万ドルに遠く及ばなかったタウンハウスだが、90年代後半の好景気の波に乗ってDC地域の不動産がどんどん値上がりし、わたしは元の買値の約2倍半の評価額でcash outすることができた。(実際にはこの物件は売ったのではなく、異なる手段でわたしはキャッシュを得たのだけど、その辺の詳細はややこしいので書かない。バブルの最盛期にはこのタウンハウスコンプレックスは、わたしが買った値段の3倍以上に上がった。バブル崩壊後の今でも、最盛期の10%ほどしか下がっていない。メトロの駅から徒歩10分、フリーウェイのアクセスもよく、そのくせちょっと奥まった場所なので回りは静かという、よいロケーションで、地元の不動産エージェントによると、とにかくマーケットに出たらすぐに売れるらしい。)

だいたい大学勤めのサラリーというのは、大したものではないのである。Medical School系統は、他の学部より多少は良いというものの、Biotechなどのprivate sectorに比較すれば雲泥の差。いちどバイオ関係の企業のジョブインタビューに行ったことがあるが、「サラリーの希望は?」と尋ねられて、比較のために現在のサラリーを言ったら、向こうにひどく気の毒がられたくらいである。同居人はフリーランスで定期収入がないので問題外。メリーランドの家から得た利益がなければエバンストンで一軒家を買うことは不可能だっただろう。(アメリカの大学の給料がどの程度か興味ある向きには、The Chronicle of Higher Educationをどうぞ。)

さて、予算を決め、場所をエバンストンに決めたからには、あとは探すのみである。昔は顧客の気に入りそうな物件をリストアップするのが不動産エージェントの重要な仕事の一つだったけれど、今は何でもインターネットの時代。全国ネットのrealtor.comというものもあるが、ここに載ってない物件もあるので、わたしは地元不動産会社のサイトで地域と価格帯を元に片っ端からサーチしていった。価格帯はちょっと低めからちょっと高めまで、少し幅広く設定。何週間が続けて見ていると、同じ物件がだんだんと値を下げていったり、いったんマーケットから引っ込めて一週間後にNew Listingとして白々しく再登場したり、といろんなやり口が見えてくるようになった。

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