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Mark-to-Marketとリカちゃん人形の家

掲示板の投稿にもあった、Mark-to-Marketという言葉が今日、ニュースでも使われていました。FASB( The Financial Accounting Standards Board )が企業会計で厳しいMark-to-Marketの基準を緩和して、金融機関のバランスシートが改善するというニュースです。


時価会計適用基準を緩和へ 米の審議会、透明性に懸念も 朝日新聞
FASB eases mark to market rules for US banks The Wall Street Journal の提携記事
U.S. rulemaker eases mark-to-market's bite MSNの記事

このMark-to-Marketとは「時価会計」と訳されています。銀行をはじめとする金融機関や企業などが持つ資産がどんなものであってもその時の「時価」で決算しましょう、というのがMark-to-Marketという基準です。これは取引価格がハッキリしている株価などでは簡単です。決算日の終値を見て決めれば良いからです。

ところが今、不良債権化している資産は、誰も買いたがらないので、ほとんど取引がありません。しかも上場している証券と違って、個別に取引される金融商品の場合、価格はあってないようなものです。こういった資産に値段を無理やりつけようとすると「誰も買い手がいない=ほとんど価値がない」ということになってしまいます。この基準をそのまま使って時価を計算すると、持っている資産の価値が無いことになってしまって決算が悪くなり、金融機関は困るという構図です。新しい基準は、今ほとんど売れないような資産は時価会計ではなくて金融期間が独自の判断しても良い、と言うものです。

リカちゃん人形の家

これを例えばリカちゃん人形の家があったとして考えて見ましょう。リカちゃん人形の家は人気があり、相場は1万円でみんなこの値段で取引していました。ところがリカちゃんの人気がなくなり、9000円、7000円、5000円、、、と下がってきて、最近では誰もリカちゃん人形の家を売り買いしなくなってしまいました。誰も売り買いしないものの値段をどうやってつければよいか?というのが時価会計で問題になる点です。

賛成派

この変更に賛成する側の意見は、持っている資産を強引に売る(Fire-sale)したら明らかに損をすると分かっていても低い額で売らざるを得ない。そういう価格を正当な市場価格(Market Price)とは呼べない。保有し続けて景気が回復すればもっと高い値段で売れるのだから、会計処理もそれに合わせるべき、というものです。

リカちゃん人形の例で言えば、Fire-Saleとは叩き売りです。フリーマーケットで持ってけドロボー状態で売るようなものですから、1000円どころか100円でも売れるかどうか分かりません。元は1万円だったのにそれはないだろう、リカちゃんの人気が復活すればせめて6000円とか7000円くらいでは売れるんじゃないか、だから会計処理もそれを見越して(人気復活を期待して)やっておけば良い、と言うのが基準変更の賛成派です。

この意見の問題点は、いつ人気が復活するかも分からないものに高い値段をつけることです。また人気が復活してもリカちゃん人形の家が6000円になると言う保証はなく、5000円かもしれないし2000円くらいにしかならないかもしれません。結局、いくらが正しいのか分からないのが問題です。

反対派

反対派の意見は、Mark-to-Marketを行わない場合、企業が勝手に値段をつけていいことになり、企業会計の透明性が失われると言うものです。確かに企業が不良債権を持っていて、それが現在価値では100円しかないのに6000円なんて価値を計上するのは間違っていると言うのも一理あります。反対派は実際に今、リカちゃん人形を売ろうとして100円しか価値がないのなら、それを公開するべきだと考えているのです。

こちらの意見の問題点は、100円という取引は実際には行われないことです。100円しか価値がなければ実際には売ることはせず、取って置いて値段が上がるのを待つことになるからです。

では、どちらが正しいのでしょう?おそらくどちらが正しいと言うことはなく、投資のための情報(決算)をどうするべきかと言う考え方の問題でしょう。このMark-to-Market、エンロンが業績を良く見せるために使った手法でもあり、これだけで企業会計の透明性が高くなったり低くなったりするものでは無いといえるでしょう。

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