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If You Can:若い人向けのファイナンス入門書

ポピー

Boglehead掲示板でもよく名前の挙がるWilliam J. Bernsteinさんが、若い人向けに新しいファイナンスの本を出したのでこちらで紹介したい。

If You Can: How Millennials Can Get Rich Slowly
By William J Bernstein (Efficient Frontier Publications)

Amazonでも数ドルで買えるし、Billさんのウェブサイトに行けばPDFを無料ダウンロードできる。

これは、社会人になったばかりの若い読者を対象に、リタイアメント・プランの基礎を教える二十数ページ程の薄い本。各章末に、他の本(The Millionaire Next Doorや、BogleさんのCommon Sense on Mutual Funds等)を読む宿題が付いている。

この本のアドバイスは単純で:

25歳からリタイアメント・プランを始めると仮定して、毎年税込所得の少なくとも15%(会社マッチは別)を401K(IRA)/Roth/課税口座に貯め、これを

・A US Total Stock Market Index Fund
・International Total Stock Market Index Fund
・US Total Bond Market Index Fund

それぞれに3分の1ずつ投資して、年一回リバランスする。

これを65歳まで続ければ、老後資金が十分に貯まり、Social Security Retirement Benefitと合わせてそこそこ安楽に暮らしていけますよ・・・と言った内容。

いとも単純なように聞こえるけど、それを忠実に確実に続けるのは難しいのは、皆さんご存知の通り。何故難しいのか、またどうやってその困難を乗り越えるのかがこの本の主題で、挑戦の意味も込めて”If You Can”というタイトルがついてる。

国内株・海外株・債券に3分の1ずつというのは、単純さを狙った資産分配だが、とりあえずの出発点としては悪くはないと思う。宿題の本を読めば、資産分配を自分に合わせて調整する知識も身に付くはず。

金融業界(Vanguardは別として)を信用するな、証券ブローカーは敵である、というのもこの本のメッセージ。

この本のアドバイスは堅実・コンサバ寄り。難点としては、文調がちょっとくどいこと、あと宿題の本のいくつか(Rich FerriのAll About Asset Allocationとか)はある程度ファイナンス知識が無いと読みにくいこと。

著者のBillさんは、元々は神経科のお医者さんで、ファイナンスに興味を持って投資の資産分配の古典本を書いた人。医業をリタイアした今は、お金持ち向けのファイナンシャル・アドバイザーをしている。

企業年金制度が消えて、ほんとんどの人が401KやIRA/ROTHといった制度下で自分の老後資金を準備しなくてはならない時代、このようにファイナンスの基礎知識ギャップを埋める本は貴重だと思う。

身近に最近社会人になった人、これからなる人がいるならば、ギフト等に添えるのも良いかもしれない。

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