家探し前に知っておくべきこと

家を買うまでのプロセスにはさまざまなステップがあり、場合によっては何年も掛けて準備する必要があります。家を買おうと思ってすぐに家を見に行くのではなく、それまでにじっくりと事前準備をしておきましょう。

資金作りの合間に

資金作りの合間には、住宅購入に関する情報収集をしておきましょう。家探しを始める前に、できれば1冊は住宅購入の本を買ってじっくり読んでみてください。大抵の本には「こんなにたくさん、面倒な事をしなければいけないのか!」と思うくらい、情報が詰まっています*1。それを全部覚えて完璧にこなすのは無理というものです。そこで、一番緊張するとき、つまり、家を決める時(オファーレターを出す、売買契約を結ぶ、など)にしなければいけないことをあらかじめ把握しておき、事前に用意しておく事で、失敗を減らせます。

資金作りの節でお話した購入資金が準備できた、もしくは半年ほどで準備できるめどが立ったら、購入の手続きを理解して、家探しの準備を始めましょう。この時点で開始するのは「家探しの準備」です。家探しを始めるのはその後です。

流れを掴む

実際に家探しを始める前に、住宅購入がどのように行われるのか、把握しておきましょう。実際に家を探し始めると、舞い上がってしまったり、気に入った物件をなんとしてでも手に入れようとしたり、視野が狭くなってしまい、細かいチェックができなくなりがちです。先に流れを掴んでおき、家を探し始めたら「次のステップが何か」を意識しながら行動すると良いでしょう。不動産屋を通すときは、相手は売上があって初めてお金が入ってくるので、なんとしてでも売ろうとしてきます。そんな時、こちらの準備がしっかりしていればセールスプレッシャーに押されたり、あせって決めてしまう、ということがなくなります。

住宅購入の大雑把な流れは次のような形になります。

  • 家を見つける
  • オファーを出して、それが受諾される
  • 家の検査、ローン取得
  • 売買契約
  • クロージング(売買手続)
  • 引越し(自分で住む場合)

このうち、速く進むステップもあれば、時間に余裕があるステップもあります。家探しを始める前の余裕があるうちに、「速く進むステップ」がどのようなものか、把握しておきましょう。「速く進むステップ」とはすなわち、プレッシャーがかかるステップでもあります。このステップを落ち着いてこなせば、家の購入も気分よくできることになります。

速く進んでしまうステップのうち、家探し(あるいはオファーを出す段階)の前にやっておける事があります。事前にやってしまえば、家が見つかった後のステップが楽になるばかりでなく、価格交渉の段階で有利になることもあります。そういったステップを順に見ていきましょう。

ローンの事前確保

ローンは、特定の物件を買うという条件で契約するのが普通です。お金を貸す側は、抵当に入る家の価値がわからなければ、いくらまでなら貸しても大丈夫か、判断がつかないからです。ただし、一定の条件のもと、ローンが確実に降りるようにしておく事ができます。

Prequalification

Prequalificationは、事前に電話などで簡単な質問に答え、その内容から銀行やローン会社などが、「この人は、このくらいローンを借りる能力がある」と認めることです。質問される内容は年収、借金、貯蓄額など、返済能力と資産内容を示すものです。Prequalificationはあくまでも申請者が答えた内容にが必要条件を満たしてるか調べるだけで、ローンがおりると保証はしてくれません。書面でPrequalificationの内容をもらうのですが、あくまでも「普通なら大丈夫ですよ」と言ってくれた、というだけに過ぎません。しかし、銀行やローン会社がそう言ってくれる訳ですから、回答内容が間違ってない限り、ローンがおりる確率は高いといえるでしょう。

Prequalificaitonのメリットは2つあります。1つは自分の返済能力が最低ラインを満たしている、と確認できる事です。例えば毎月の返済額が収入の30%以内であることなどの条件があります。Prequalificationがある、ということはそういった最低限の条件は満たしている、ということです。もうひとつのメリットは、それを売り手に見せれば、「この人は(冷やかしでなく)真剣に買おうとしている」「ローンもおりるだろう」と思ってくれる事です。通常の売買契約は「ローンがおりなかった場合には無かったことにする」という条件がつくので、売り手はローンがおりない相手とは売買契約を結びたがりません。買い手にPrequalificationがあれば、ローンがおりなくて契約キャンセル、ということもない訳ですから、オファーが受諾されやすい、とされています。

Preapproval

Prequalificationよりも一歩進んで、Preapprovalをもらえば、ローンはほぼ確実になります。これは、本来は物件が決まってから申し込むローンの申請を事前に行い、承認をもらう、と言うことです。書類審査も行い、ローン申請した時と同じ内容のチェックが行われます。このPreapprovalがあると、収入、資産、負債、クレジットヒストリーなどのチェックが終わって、後は買う家を見つけるだけということになります。

このPreapprovalを申請するためには購入する家の価格を仮に決めて、申請します。そのため、実際の家の価格はその仮価格以内である必要があります(若干のオーバーは再審査で簡単に認めてくれるかもしれません)。また、家を見つけてから申請した場合も同様ですが、家のAppraisal(価格鑑定)が低いと、ローンが希望どおりに降りない場合があります。100%ローンが保証されているわけではありませんが、家を見つけてからやらなければならない審査などを全部済ませておくことで、気持ちも楽に家探しや価格交渉、売買手続ができるようになります。

Preapprovalは先のPrequalificationよりも更にローンが降りるのが確実なので、売り手に「オファーを受諾すればすぐに売ることができますよ」と、大いにアピールすることができます。Preapprovalをうまく交渉材料にすればその分、有利な売買ができるかもしれません。ローン申請の手間は先にやっても後でやっても似たようなものですから、可能であればPreapprovalを取っておくと良いでしょう。

ローン限度額

PrequalificationもPreapprovalもローン金額の上限を決めます。承認された金額を絶対借りないといけない、ということではありません。ですから、もし予算がはっきりしているのなら、その予算ぴったりまでの金額でPreapproval/Prequalificationを取りましょう。時にはローン会社から「あなたは$10万ドルで申請したが、審査の結果、あなたの収入なら$20万まで借入れ可能ですよ。Preapproval/Prequalificationの書面を発行するのに、金額を$20万にしておきますか?」などと聞かれる場合があります。こういった場合でも上限は必ず自分の予算内にしてもらいましょう。

上限を予算内にするのは2つ理由があります。1つは、自制のためです。相手はお金を貸せば貸すほど儲かるので、「上顧客」になりそうな人にはたくさん貸そうとします。「あなたは高収入だし、もっと大きくて立派な家がふさわしいですよ」なんてそそのかされて、必要もないのに高い家を買ったらさぁ大変。修繕費や家具、ライフスタイルまで高い家に合わせ始めて、どんどんとお金を無駄に使ってしまいます。ですから、予算をはっきり決めて、その金額までしか承認してもらわないようにしましょう。

もう1つの理由は、もし承認された額が物件価格よりも非常に高い場合には、価格交渉で有利にはならないかもしれない、と言うことです。例えば$11万の家を見つけたとしましょう。予算が$10万で、Preapprovalが$10万になっていれば、「予算は$10万です。Preapprovalがあるので、その価格ならすぐに買いますよ。値引きできませんか?」という交渉もできます。これがもし、$20万のPreapprovalだったら、「この買い手はお金はあるぞ」と思われて、値引きに応じてくれないかもしれません。ただし、$10万のPreapprovalで売り手が値引きをしない場合には、オファーを断られてしまうかもしれません。しかし、元々の予算が$10万だったのですから、そうなったら諦めましょう。つまり、承認をもらうのは予算の上限ぴったりでいいということになります。

インスペクター

家が見つかったら、その家に問題がないか、インスペクターに検査を依頼することになります。通常はこの検査はオファーが受け入れられてから売買契約をするまでの短い期間(数日から1週間程度)にしなければなりません。検査(Inspection)をどこに頼むか、というのはとても重要です。というのも、不動産エージェントが紹介するインスペクターはエージェントに有利なように「甘い」検査しかしない可能性があるからです。インスペクターはエージェントから仕事を紹介してもらう形になりますから、「辛い」検査だと、不動産売買が成立せず、エージェントから嫌われます(=仕事を回してもらえない)。

インスペクターの探し方

そこで、エージェントが紹介するインスペクターではなく、できるだけ自分で探したインスペクターに検査を依頼しましょう。こうすれば、不動産屋に有利になることを(ある程度は)防げますし、自分であらかじめ、そのインスペクターを評価してから依頼することができます。検査をする期間が短い期間に限られているので、事前にインスペクターを探しておくのがいいのです。

Yellow Page にはインスペクターがずらっと並んでいますし、The American Society of Home Inspectors (ASHI http://ashi.org/ )の会員になっているインスペクターをZipコードから検索する事もできます。問題は良いインスペクターを探すにはどうしたらいいか、ということです。

Inspection Report

Home Buying For Dummiesなどを読むと、良いインスペクターのレポートと悪いレポートのサンプルがあります。それによると、良いレポートはチェックリスト形式ではなく、言葉で家の状態を記述してくれます。例えば単に「Capacity in Amps 60 in Volts 220」では、それが良いのか悪いのかわかりません。「The capacity was marginal. To handle the current loads, the main capacity should be increased」などと書いてあれば、電気容量が少なく、容量を増やす事が必要とすぐにわかります。もし、Inspection Reportのサンプルを頼んで、納得がいけば、そこに頼むのもいいでしょう。

ところが、上記の例のようなレポートを書いてくれるインスペクターは非常に少ないようです。ほとんどのインスペクターがチェックリスト形式のレポートを使っているからです。そこで、次善策としては、そういったレポートのサンプルを見せてもらいましょう。知り合いで実際に検査を頼んだ人がいれば見せてもらうのもいいでしょう。そして、いくつかの項目について質問して見て、どう答えてくれるかをチェックします。納得いく答えを快くしてくれるインスペクターなら合格です。

インスペクター探しを事前にしておけば、レポートのどういったところをチェックすればいいか、質問すればいいか、などが分かります。検査のときに聞くべき事がはっきり分かっていれば、チェックリスト形式のインスペクターしか見つけられなくても、ポイントを抑える事ができるでしょう。


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