日本では家は一生の買い物といいますが、アメリカではそういう考えの人は少なく、人生の節目ごとに買い換える人が多くなっています。結婚、出産、転勤/転職、退職(リタイア)などのタイミングで買い換えるのです。引越し回数が多く、また遠く離れた別の都市移ることも躊躇しない国民性から、Mobility(社会的流動性)が高く、住宅市場もそれに合わせて形成されています。
このような背景からアメリカでの住宅購入は、日本で家を買う場合と違う点が多くあります。アメリカ独特の仕組みもありますから注意が必要です。
家を買うまでのステップは次のようなものです。
意外に思われるかもしれませんが、「家探し」は住宅購入のステップの中でも最後に近いステップです。自分の人生プラン、ライフスタイルに合った家を手に入れるには、家探しの前のステップがとても重要なのです。
アメリカで本当に家を買ってみよう、という人は大雑把な流れを掴んだら、細かいところは本やセミナー(地元の不動産屋が無料で開催するときもある)などで勉強してください。本サイトでは全体の流れと考え方、そして本には余りかかれる事がないコツなどについて紹介していきます。
家を買うと言う事が自分に取ってどういう意味を持つか、というのは人それぞれでしょう。「自分の城」「家族団欒(だんらん)場所」「家賃を払うくらいだったら買ったほうが得」「将来値上がりしたら儲かる」などなど・・・自分の「思い入れ」が強いと、物を買うときのこだわりも強くなる訳ですが、こと「家」に関してはそれが大きく出てくるのではないでしょうか?しかも家は普通の人に取ってはおそらく一番高い買い物だと思います。ですから、ちょっとの「こだわり」の差で大きく出費が変わってきます。得をする場合もあるでしょうが、損をして口惜しい思いをする事もあるかもしれません。自分がどういう「思い入れ」で家を買おうとしているのか、じっくり考えてから行動を始めるといいでしょう。
家を買うより前に、家を買おうと思い始めるより前に、考えておくべきことがあります。1つは家計のやりくりです。今の収入は安定していますか?支出はどうでしょう?当たり前の事ですが、収入よりも支出が多い状態では、住宅購入は難しいと言えます。現在の支出が多いと言う事は、それだけ余裕がないわけですから、住宅購入資金だけでなく、購入した後の支出や、長期のローン返済を考えると責任ある返済ができないかもしれない訳です。
もちろん、収入や支出の内容によって「住宅を購入したほうが節税できる」「借りるより買ったほうが長期的にみれば得」という言い訳もあるでしょう。例えば今のアパートは都会にあり高い家賃だが、買うなら少し郊外にするので、ローンは家賃よりも安いから大丈夫、というものです。この手のロジックはその人の「消費癖(あえて浪費癖とまでは言わないでおきましょう)」を隠すための手段でしかありません。都会の交通便利なところに住んでいる人が家を買うからといって郊外の小さな家を買うでしょうか?本当に郊外に住んでもいいと思っているなら、郊外のアパートに住んで浮いた家賃を貯金するところから始めるべきでしょう。
もう1つは自分の人生プランと家がどのように関係するか、ということです。例えば、ここアメリカに住んでいる日本人なら、将来に渡ってアメリカに住みつづけるのか、あるいは日本に帰るのか、といったことは家を買うか買わないか、買うとすればどのような家にするか、ということに大きく影響します。家は一度購入すると、(アパートを借りるのと比べて)ある程度長期間保有しないと、そのメリットが出てきません。ですから、すぐに引っ越す可能性がある場合は、家の買い方も変わってくるでしょう。また、同居家族が増えるかもしれない(子供が生まれたり、親と一緒に住むことにしたり)、あるいは減るかもしれない(子供が巣立っていく)なども住宅購入前から考えないといけないでしょう。
これらのことを考えて整理してから住宅購入を考え始めたれば、そのときの考えや衝動に左右されず、賢い住宅購入ができます。家計もしっかりしていて、今後の人生プランがはっきりしたら、「家を買うか考える」準備ができたと言えます。この時点では、家を買うかどうか、考えるだけです。もし、住宅購入が家計と人生プランに合わなければ、今は買わない、という結論になることもあるでしょう。
さて、上記の「家計」と「人生プラン」を元に、家を買おうか考え始めましょう。家を買う目的は「住むため」の一言で言い表されるとは限りません。例えば家計をしっかり見直した結果、家を購入したほうが経済的なメリットがあると分かることもあるでしょう。また、子供が増えたり、学校に行くなど、家族のことを考えて家を持ちたい場合もあるでしょう。あるいは一旦、小さ目の家を買っておいて、家族が増えたら大きな家を買い、1件目は賃貸物件として人に貸す、という投資効果を考えて買う場合もありえます。いずれの場合でも、「なぜ(借りるのではなく)買うか」という目的をはっきりさせましょう。いくつか制限があるものの、借家であってもアパートから一軒家まで、同じ地区に似たような物件が見つかる可能性もあるわけですから、借りることと買うことは何が違い、自分にとってメリットがあるかを見極める必要があります。
この「目的」を第一に決めることはとても大切です。自分の理想とする広さで、新築(もしくはリフォーム済み)で、場所も良くて、作りもしっかりしていて、しかも手ごろな値段で、将来値上がりが確実で・・・などという、完璧な物件はありません。気に入った家だけど、気に入らない個所もある、それが家です。目的をしっかり決めることで、どういう条件が一番大切かはっきりし、家を購入する時に「邪念」が入ってくることがなくなります。例えば、良さそうな物件が2つあって、1つは1万ドル高いけど素敵な暖炉がついている、もう一つは暖炉はないけどその分安い、としましょう。もし、家の「目的」が家族団欒の場、暖かいぬくもりのあるリビングでくつろぐ、などであれば、1万ドル出しても暖炉がある家の価値はあるかもしれません。しかし、目的が「経済的にメリットがある家に住み、引っ越した後は人に貸して投資物件として保有する」であれば、1万ドル分の価値を見出すことは難しいでしょう。
つまり、購入の目的を決めることは、その目的にふさわしい家を見つけるための指針を決めることです。指針がしっかりしていれば、予算、場所、広さ、設備など、家を選ぶ上で重要な要素をその時の気分に流されることなく、客観的に選択していくことができます。
さて、家を買う目的がはっきりしたら、その目的のためにふさわしい家の予算を決めましょう。予算は次の要素に依存します。
資金作りをしている段階では毎月の返済可能額や金利は正確には予想できません。例えば5年後に家を買うと決めても、5年後の収入(返済可能額に影響する)や金利はあらかじめ正確には予想できないわけです。そこで、毎月の返済額と金利は大雑把に考えて、頭金と初期費用をどのくらい貯めていくか、ということを中心に資金作りを考えてみましょう。
アメリカでは頭金(Down Payment)は住宅購入価格の20%以上が一般的です。詳しくは住宅ローンの節で説明しますが、一般にローンを組む時、住宅価格の80%までしか貸してくれません。ですから、足りない分20%は頭金として払う必要があるのです。そこで、資金作りとしては、自分が買いたい住宅価格帯を考え、その20%を貯めることが最初の目標になります。例として10万ドル前後が価格帯だとすると、その20%、つまり2万ドルが頭金の目標になります。
準備しなければいけない資金は頭金だけではありません。住宅購入の際はさまざまな手数料が掛かります。ローン申請料、検査費用、書類作成料、利息手数料、弁護士費用、税金などなど。。。こういった手数料をローン自体に組み入れると言うテクニックもありますが、基本的には購入時点で現金で支払うことになります。概算としては、住宅購入価格の3~5%程度になるでしょう。手数料はローンの組み方や購入条件でも変わりますが、多めに見積もっておいて損はないでしょう。余りが出たら頭金に回して、将来払う利息を減らすということもできます。
その他の資金としては引越し費用、家具購入費用、修繕費用などを用意しておきます。特に家具などは見過ごされがちです。家を買ったら自分の思い通りの部屋にしたい、といった家そのものに関係する費用から、高級住宅街に家を買ったので、「それにふさわしい」車が必要になる、といった(まったくFI的でない)支出まで発生するかもしれません。いずれにしても、家を買った後のライフスタイルまで考えて資金を貯める必要があります。
頭金、手数料、引越し費用などを計算して必要な額が分かったら、それを貯める計画を立てます。10万ドルの家を考えて、頭金2万ドル、手数料などで5%=5000ドル、その他の費用として5000ドル、合計3万ドルと見積もったとしましょう。これを5年間で貯めるとすると、単純計算で毎月$500ずつ貯める必要があります。貯めていくお金はしっかり運用して利息がつくので、$500よりも低くてよい、という考えもあります。しかし、私は利息の分を「おまけ」と考えて、単純に月数で割った額を毎月、きっちり貯めていくことをお勧めします。
その理由は2つあります。1つは住宅価格の上昇です。場所によって住宅価格の上昇率は違いますが、今、10万ドルの価格の家は資金は、資金が貯まった5年後には今よりも高くなっているでしょう。ですから、利息はその上昇分と相殺される、と考えておくのです。もう1つの理由は利息を計算の中に組み入れると、元々予定していた利率が得られなかった時、資金計画が狂います。利息を「おまけ」として考えておけば、目標額が早く貯まればその時に住宅購入を考え始めてもいいし、予定した期間貯めて、資金に余裕がある状態で家を探してもいいことになります。つまり、選択肢が増えるということになります。家という高額な買い物をするわけですから、資金に余裕がある状態=心にも余裕がある状態が良いでしょう。
資金計画そのものは上記のような形で計算すれば金額がすぐに算出できます。ここで忘れてはならないのは、住宅購入の資金以外のお金のやりくりを忘れない事です。家を買ったときに貯金額が$0になってしまう、というのでは困ります。また、購入時期にもよりますが、大きな支出はあらかじめ支払い予定を考えておきましょう。年払の保険料(例えば車だと$1000以上することもありますよね)、税金、医療費など、家を買ってから1年以内に発生する支出を把握しておきましょう。
それとは別に、普段の生活に必要な資金にも余裕を持たせましょう。よく使われる計算方法は、普段の生活費の3か月分をSavingに入れておく、というものです。住宅購入に限りませんが、自分の手持ちのお金を全て使ってしまっては、突発的な支出があった場合、身動きが取れなかったり、損をしてでも資産を処分しなければいけなくなったりします。せっかく買った家を、突発的な出来事のためにすぐに売らなければならない状況は避けたいものです。
資金計画ができたら、とにかくそれを実行していきましょう。毎月の予定額を貯金するためには現在のライフスタイルの中で我慢しなくてはならないこともあるかもしれません。自動引き落としなどの手段で強制的に資金作りをすることをお勧めします。住宅市場は毎年、変わっていきますから、目標達成の半年から1年位前になるまで、家の事は取り合えず忘れましょう。途中で家探しなどをはじめてしまうと余計なことに邪魔され、せっかくの計画が守れなくなることもあります。とにかく、資金作りだけに集中して、実際にどういう家を買うかは準備ができるまで気にしないことにしましょう!
住宅ローンは借り入れ金額も大きく、知識を持っているか持っていないかで利息や諸費用などの支払いで差が出てきます。基本をしっかり抑えて有利なローンを得られるようにしましょう。
ローン、特に住宅ローンや自動車ローンで一般的な元利均等返済とはどういったものでしょうか?元利均等返済ローンとは元本の一部と利息を合わせて、毎月一定額を返済するタイプの借金です。対照的に、借りたお金に対する利息だけを定期的に支払い、一定期間が過ぎたら借りた額を全額まとめて返すタイプの借金もあります。また、アメリカのクレジットカードのように、毎月、最低返済額だけ決まっていて、それ以上ならいくらでも構わない、変動タイプの借金もあります。このようにローンはいくつもある借金のタイプの1つなのですが、どういった特徴があるか、まとめてみましょう。これらの特徴を理解する事は、賢く住宅ローンを使う上で重要になってきます。
ローンの返済額は、1.借入金、2.金利、3.返済期間、4.返済間隔の4つの要素で決まります。金利は年利で表されますが、実際には残高に金利を掛けたものの12分の1が毎月の利息になります。つまり、分かりやすいように年利で表示されていても、計算上は12分の1にして月利を使う、という訳です。返済期間は、アメリカの住宅ローンは15年、もしくは30年が標準的ですが、これ以外の返済期間も自由に選べます。返済間隔は、ほとんどの場合、毎月になります。アメリカでは2週間ごとに給料日になる会社も多いので、返済も2週間ごとにする方法もありますが、わざわざ変則的な返済間隔を選ぶ理由はありません。
さて、実際に4つの要素から毎月の返済額を計算するのは、普通の電卓では非常に面倒な計算になります。住宅ローンの計算をしてくれるWebサイト(例えばMortgage Calculator
を使う、Excelなどの表計算ソフトを使う、あるいは財務電卓などで計算する必要があります。いずれの場合も、利息支払い分と元本返済分の合計が、毎月一定になります。
毎月の支払額が一定という特徴のために、住宅ローンの返済は、最初はほとんど利息だけを支払っている状態になります。
右のグラフで分かる通り、毎月の返済額(赤の線)は常に一定です。最初の数年は返済額のほとんどが利息分=オレンジの線です(このグラフは借入額$100,000、金利7%、返済期間30年の場合)。逆に元本の返済は最初のうちは毎月わずかで、ローン期間30年のうち、20年経つとやっと、その月の返済は半分がローン元本の返済、半分が利息、という状態になります。
この特徴をよく理解することで、自分の購入パターンに合った住宅ローンが組めるようになります。返済期間の最初のうちは利息がほとんど、ということは、もしその期間の間にその家を売りに出した場合、借り入れた元本のほとんどがまだ「借金」として残っていて一括返済しなければいけない、ということです。返済期間よりもかなり早く(目安は10年以内)、その家を売りに出すことが確実な場合、何らかの方法で(詳しくは後述)、最初の10年間の利率を低く抑えることができれば有利になるわけです。
借入れ額(Loan Amount, Mortgage Amount)は、自分が実際にローン会社から借りる金額です。通常は借入れ額が購入価格(Purchase Price)の80%以下でなければなりません。80%以下しか借りない普通のローン(逆にいえば頭金を20%以上払うローン)をConventional Loan といいます。もし、借入れ額が80%を超える場合はPMI(Private Mortgage Loan、後述)を払う、あるいは別のところから借りてくるなどの手段が必要になります。こういった Conventional でないローンは余計な負担が掛かるので、特別な(正当な)理由が無い限りは20%の頭金を用意して、借入れ額は必ず80%以内に収めましょう。
返済期間(Term)は、30年間が最も一般的です。また、15年の返済期間も一般的です。新聞やWebサイトに載っている住宅ローンの利率は大抵この2つの期間で表示されていると思います。一般には30年返済よりも15年返済のほうが利率が低くなっています。また、これ以外の年数でも住宅ローンは組めます。例えば20年や25年といった期間でもいいわけです。ただし、利率は30年返済を20年返済にしても変わらない場合があります。返済期間が短くなるので、利息の支払い総額は減りますが、「利率」という点では年数を少し減らしても有利にはなりません。
ローンの利率(Interest Rate)は年率で表されます。年率は、例えば銀行の預金利率や投資の利益の計算にも使われているので、イメージを掴むのには便利です。ただし、実際の計算は月率が使われます。これは毎月、返済するのだから当然と言うことになります。$100,000の元本で年率が6%のローンの場合、12で割って0.5%が月率なので、$100,000 x 0.5% = $500 が最初の月に払う利息になります(返済額は元本分もあるのでもっと高い)。
利率が低いほど、毎月の返済額が減りますので、低ければ低いほど良いと言えます。しかし、これはその他の条件がまったく一緒の場合に限ります。同じ銀行が提供するローンならその他の条件を同じにして比較することも簡単ですが、違う銀行やローン会社の金利を比較する場合、手数料や返済条件が違えば、単純な比較はできません。利率を比べる時はできるだけ同じ条件で比べましょう。実際、いくつものローンを探せば、似たような条件なのに利率が0.5%も違うことがあります。住宅ローンを申請する前に、必ず同じか似たような条件で利率の低いローンを探すことが重要です。
アメリカの住宅ローンは、大きく分けて固定金利(Fixed Rate Mortgage)と変動金利(Adjustable Rate Mortgage = ARM*4)の2つのタイプに分かれます。固定金利はローンの返済期間中*5ずっと、金利が変わりません。固定金利のほうが一般的で、借りる側に金利上昇のリスクがないことから、分かりやすいと言えます。変動金利のローンは市場金利の上下に合わせて借り入れ利率が変動するローンです。貸す側が都合がいいようにいくらでも利率を変えて良いわけではなく、最大利率、最小利率などが決まっています。また、利率は貸す側が勝手に決めるわけではなく、基準となる指標(例えばアメリカ国債の利率など)にプラス何%という形で決まります。通常は、ARMの方が固定金利よりも最初の利率は低くなっています。利率は一定期間ごと(大抵、半年か1年)に見直され、変更(Adjusted)されます。
ローンを組むと、さまざまな手数料のほかに「ポイント(points)」と呼ばれる、融資手数料を取られます。借り入れ額に対する割合(%)で表示され、1 point と言えば借入額の1%が融資手数料、という意味です。一般には1~3points 程度で、ポイントが高いほど、金利が低くなります。No point と言われる、融資手数料が掛からないローンもありますが、その分金利が高くなっているので、長期間、そのローンを維持するのなら不利になります。
ポイントは利息の先払いと考えることができます。実際、利息として扱われ、例えば確定申告のときにポイントで払った分は利息払い分として控除の対象になります。ローン会社側としてはローンを発行する際に(さまざまな手数料を取っているにもかかわらず)事務処理などの費用が掛かります。利用者がすぐに他のローンに乗り換えてしまっては、その費用が無駄になってしまったり、入ってくる予定だった利息が無くなりますから、会社の利益も減ってしまうわけです。そこで、ある程度、利息分を最初にまとめて払ってもらおう、というのがポイントの考え方です。
ポイントは利息の先払いなので、ポイントを先にたくさん払うのなら、返済期間中に払う利息は少なくしてもらわないと割に合いません。そこで、ポイントが高いと金利が低くなる(=利息が少なくなる)ようにして、バランスを取っているのです。例えば$100,000を30年固定金利で借りる場合を考えましょう。銀行は 3 points = $3,000 なら金利 7%、2 points = $2,000 なら7.125%、1 point = $1,000 なら7.250%などと、ポイントごとに別々の金利を提示します。
ローンを組む時に必要な費用をまとめて Closing Cost または Closing Fees と言います。Closing Costには Pointsの他にUnderwriting Fee (ローン引き受け料)、Application Fee (申請料)、Processing Fee(処理手数料)、Tax Service Fee(税金手続き料)、Attorney Fee(弁護士費用)、Title Insurance(所有権保険料)などなど、銀行側がローンを組むために必要な全ての手数料が含まれます。上記の手数料は銀行自体が請求するものと、弁護士費用や保険料などのように銀行が委託した先に払う手数料(Third Party Fees)の両方が含まれます。Pointを除く手数料は、合計すると数千ドルになるのが普通です。Closing Cost は Closing Day(売買日)に頭金などと一緒に払う必要があります。Closing Costは買い手が払うのが一般的ですが、物件によっては売り手が負担する場合もあります。
こういった手数料は、ローン金額全体に比べれば数%程度ですし、細かいものがいくつもあるので、面倒になって注意を怠りがちです。しかし、どの銀行やローン会社でも請求する内容は似たようなものなので、いくつかの銀行から見積もりをもらえば、どの項目に差が出るか、すぐに分かるでしょう。手数料が安いほうがいいとは必ずしもいえませんが、同じ条件で手数料が安ければ、それに越したことはありません。ですから、ローンを比較する時は手数料も含めて比較する必要があるでしょう。
Conventional Loan を申し込むには、自分の収入、財産、返済能力を証明するためにさまざまな書類を提出する必要があります。以下はその例です。
公共料金の支払いなどは、Canceled Check のコピーを送ることで証明できます。恐らく、金額として返済できるかどうか、というだけでなく、習慣として、毎月きちんと期限前に支払いをしているか、と言うのも見てるのではないでしょうか。
さまざまな過去の書類が必要になりますから、普段から明細書などは整理して保存しておく必要があります。もし、足りない書類があれば、事前にコピーを用意しておきましょう。例えばTax Returnの書類はIRSに申し込めばコピーを送ってもらえます(有料)。
以前はローン会社によってはこれらの書類審査なしで、自己申告だけでローン審査をしてくれることもありました。しかし住宅バブルの崩壊とともにこういったローンは姿を消し、ローン審査は厳しくなったようです。しかし収入や借入額、クレジットスコアが有料など条件を満たせば言われたとおりの書類を出せば問題ないはずです。
住宅ローン(Mortgage)を借りるとき、いくらまで借りられるかというのは、買える家(の価格)を知る上で重要です。通常、Lender(銀行やローン会社)は、借り手の収入に応じてFront RatioとBack Ratioを重要な判断基準にします。
Front Ratioとは、購入する家に掛かる毎月の経費=PITI(Principal, Interest, Tax, and Insurance)を毎月の税引き前収入で割ったものです。例えばPITIが$1300で、毎月の収入が$5000ならFront Ratioは26%になります。多くのLenderは借り入れ限度額をFront Ratioが28%以下になるように決めています。最近ではFront Ratioが33%くらいまで認めるLenderも増えてきたともいいます。
Back Ratioは家に掛かる経費以外の借金返済もPITIに足し、それを収入で割ったものです。上記のPITI以外に自動車ローンの支払いが毎月$200あるとしたら、Back Ratioは $1500/$5000 = 30% になります。Back Ratioは最大でも36%を超えないように借入限度が決められます。
ここで借入限度というのは、Lenderが貸してもいいという限度額で、借りた人に最適な借入額ではありません。毎月のローン金額も大切ですが、他にどういった出費があるか、将来の蓄えがあるか、家を買ったらそれに合わせて出費が多くなる、なども考えなければ行けません。人によっては医療費、養育費、教育費など絶対欠かせないものもあるでしょうし、娯楽費などは我慢して削ることができるかもしれません。
借入限度額は本当に家が必要で、他のすべての出費をできるだけ我慢した場合に許容できる限度と思うとちょうど良いと思います。ぎりぎりまで切り詰めたくなければ、Front Ratioが低くて済む=借入額が少なくて済む方法を考える必要があります(頭金を多く払う、価格のより低い家にする、収入を増やすなど)。
家を買うまでのプロセスにはさまざまなステップがあり、場合によっては何年も掛けて準備する必要があります。家を買おうと思ってすぐに家を見に行くのではなく、それまでにじっくりと事前準備をしておきましょう。
資金作りの合間には、住宅購入に関する情報収集をしておきましょう。家探しを始める前に、できれば1冊は住宅購入の本を買ってじっくり読んでみてください。大抵の本には「こんなにたくさん、面倒な事をしなければいけないのか!」と思うくらい、情報が詰まっています*1。それを全部覚えて完璧にこなすのは無理というものです。そこで、一番緊張するとき、つまり、家を決める時(オファーレターを出す、売買契約を結ぶ、など)にしなければいけないことをあらかじめ把握しておき、事前に用意しておく事で、失敗を減らせます。
資金作りの節でお話した購入資金が準備できた、もしくは半年ほどで準備できるめどが立ったら、購入の手続きを理解して、家探しの準備を始めましょう。この時点で開始するのは「家探しの準備」です。家探しを始めるのはその後です。
実際に家探しを始める前に、住宅購入がどのように行われるのか、把握しておきましょう。実際に家を探し始めると、舞い上がってしまったり、気に入った物件をなんとしてでも手に入れようとしたり、視野が狭くなってしまい、細かいチェックができなくなりがちです。先に流れを掴んでおき、家を探し始めたら「次のステップが何か」を意識しながら行動すると良いでしょう。不動産屋を通すときは、相手は売上があって初めてお金が入ってくるので、なんとしてでも売ろうとしてきます。そんな時、こちらの準備がしっかりしていればセールスプレッシャーに押されたり、あせって決めてしまう、ということがなくなります。
住宅購入の大雑把な流れは次のような形になります。
このうち、速く進むステップもあれば、時間に余裕があるステップもあります。家探しを始める前の余裕があるうちに、「速く進むステップ」がどのようなものか、把握しておきましょう。「速く進むステップ」とはすなわち、プレッシャーがかかるステップでもあります。このステップを落ち着いてこなせば、家の購入も気分よくできることになります。
速く進んでしまうステップのうち、家探し(あるいはオファーを出す段階)の前にやっておける事があります。事前にやってしまえば、家が見つかった後のステップが楽になるばかりでなく、価格交渉の段階で有利になることもあります。そういったステップを順に見ていきましょう。
ローンは、特定の物件を買うという条件で契約するのが普通です。お金を貸す側は、抵当に入る家の価値がわからなければ、いくらまでなら貸しても大丈夫か、判断がつかないからです。ただし、一定の条件のもと、ローンが確実に降りるようにしておく事ができます。
Prequalificationは、事前に電話などで簡単な質問に答え、その内容から銀行やローン会社などが、「この人は、このくらいローンを借りる能力がある」と認めることです。質問される内容は年収、借金、貯蓄額など、返済能力と資産内容を示すものです。Prequalificationはあくまでも申請者が答えた内容にが必要条件を満たしてるか調べるだけで、ローンがおりると保証はしてくれません。書面でPrequalificationの内容をもらうのですが、あくまでも「普通なら大丈夫ですよ」と言ってくれた、というだけに過ぎません。しかし、銀行やローン会社がそう言ってくれる訳ですから、回答内容が間違ってない限り、ローンがおりる確率は高いといえるでしょう。
Prequalificaitonのメリットは2つあります。1つは自分の返済能力が最低ラインを満たしている、と確認できる事です。例えば毎月の返済額が収入の30%以内であることなどの条件があります。Prequalificationがある、ということはそういった最低限の条件は満たしている、ということです。もうひとつのメリットは、それを売り手に見せれば、「この人は(冷やかしでなく)真剣に買おうとしている」「ローンもおりるだろう」と思ってくれる事です。通常の売買契約は「ローンがおりなかった場合には無かったことにする」という条件がつくので、売り手はローンがおりない相手とは売買契約を結びたがりません。買い手にPrequalificationがあれば、ローンがおりなくて契約キャンセル、ということもない訳ですから、オファーが受諾されやすい、とされています。
Prequalificationよりも一歩進んで、Preapprovalをもらえば、ローンはほぼ確実になります。これは、本来は物件が決まってから申し込むローンの申請を事前に行い、承認をもらう、と言うことです。書類審査も行い、ローン申請した時と同じ内容のチェックが行われます。このPreapprovalがあると、収入、資産、負債、クレジットヒストリーなどのチェックが終わって、後は買う家を見つけるだけということになります。
このPreapprovalを申請するためには購入する家の価格を仮に決めて、申請します。そのため、実際の家の価格はその仮価格以内である必要があります(若干のオーバーは再審査で簡単に認めてくれるかもしれません)。また、家を見つけてから申請した場合も同様ですが、家のAppraisal(価格鑑定)が低いと、ローンが希望どおりに降りない場合があります。100%ローンが保証されているわけではありませんが、家を見つけてからやらなければならない審査などを全部済ませておくことで、気持ちも楽に家探しや価格交渉、売買手続ができるようになります。
Preapprovalは先のPrequalificationよりも更にローンが降りるのが確実なので、売り手に「オファーを受諾すればすぐに売ることができますよ」と、大いにアピールすることができます。Preapprovalをうまく交渉材料にすればその分、有利な売買ができるかもしれません。ローン申請の手間は先にやっても後でやっても似たようなものですから、可能であればPreapprovalを取っておくと良いでしょう。
PrequalificationもPreapprovalもローン金額の上限を決めます。承認された金額を絶対借りないといけない、ということではありません。ですから、もし予算がはっきりしているのなら、その予算ぴったりまでの金額でPreapproval/Prequalificationを取りましょう。時にはローン会社から「あなたは$10万ドルで申請したが、審査の結果、あなたの収入なら$20万まで借入れ可能ですよ。Preapproval/Prequalificationの書面を発行するのに、金額を$20万にしておきますか?」などと聞かれる場合があります。こういった場合でも上限は必ず自分の予算内にしてもらいましょう。
上限を予算内にするのは2つ理由があります。1つは、自制のためです。相手はお金を貸せば貸すほど儲かるので、「上顧客」になりそうな人にはたくさん貸そうとします。「あなたは高収入だし、もっと大きくて立派な家がふさわしいですよ」なんてそそのかされて、必要もないのに高い家を買ったらさぁ大変。修繕費や家具、ライフスタイルまで高い家に合わせ始めて、どんどんとお金を無駄に使ってしまいます。ですから、予算をはっきり決めて、その金額までしか承認してもらわないようにしましょう。
もう1つの理由は、もし承認された額が物件価格よりも非常に高い場合には、価格交渉で有利にはならないかもしれない、と言うことです。例えば$11万の家を見つけたとしましょう。予算が$10万で、Preapprovalが$10万になっていれば、「予算は$10万です。Preapprovalがあるので、その価格ならすぐに買いますよ。値引きできませんか?」という交渉もできます。これがもし、$20万のPreapprovalだったら、「この買い手はお金はあるぞ」と思われて、値引きに応じてくれないかもしれません。ただし、$10万のPreapprovalで売り手が値引きをしない場合には、オファーを断られてしまうかもしれません。しかし、元々の予算が$10万だったのですから、そうなったら諦めましょう。つまり、承認をもらうのは予算の上限ぴったりでいいということになります。
家が見つかったら、その家に問題がないか、インスペクターに検査を依頼することになります。通常はこの検査はオファーが受け入れられてから売買契約をするまでの短い期間(数日から1週間程度)にしなければなりません。検査(Inspection)をどこに頼むか、というのはとても重要です。というのも、不動産エージェントが紹介するインスペクターはエージェントに有利なように「甘い」検査しかしない可能性があるからです。インスペクターはエージェントから仕事を紹介してもらう形になりますから、「辛い」検査だと、不動産売買が成立せず、エージェントから嫌われます(=仕事を回してもらえない)。
そこで、エージェントが紹介するインスペクターではなく、できるだけ自分で探したインスペクターに検査を依頼しましょう。こうすれば、不動産屋に有利になることを(ある程度は)防げますし、自分であらかじめ、そのインスペクターを評価してから依頼することができます。検査をする期間が短い期間に限られているので、事前にインスペクターを探しておくのがいいのです。
Yellow Page にはインスペクターがずらっと並んでいますし、The American Society of Home Inspectors (ASHI http://ashi.org/
)の会員になっているインスペクターをZipコードから検索する事もできます。問題は良いインスペクターを探すにはどうしたらいいか、ということです。
Home Buying For Dummiesなどを読むと、良いインスペクターのレポートと悪いレポートのサンプルがあります。それによると、良いレポートはチェックリスト形式ではなく、言葉で家の状態を記述してくれます。例えば単に「Capacity in Amps 60 in Volts 220」では、それが良いのか悪いのかわかりません。「The capacity was marginal. To handle the current loads, the main capacity should be increased」などと書いてあれば、電気容量が少なく、容量を増やす事が必要とすぐにわかります。もし、Inspection Reportのサンプルを頼んで、納得がいけば、そこに頼むのもいいでしょう。
ところが、上記の例のようなレポートを書いてくれるインスペクターは非常に少ないようです。ほとんどのインスペクターがチェックリスト形式のレポートを使っているからです。そこで、次善策としては、そういったレポートのサンプルを見せてもらいましょう。知り合いで実際に検査を頼んだ人がいれば見せてもらうのもいいでしょう。そして、いくつかの項目について質問して見て、どう答えてくれるかをチェックします。納得いく答えを快くしてくれるインスペクターなら合格です。
インスペクター探しを事前にしておけば、レポートのどういったところをチェックすればいいか、質問すればいいか、などが分かります。検査のときに聞くべき事がはっきり分かっていれば、チェックリスト形式のインスペクターしか見つけられなくても、ポイントを抑える事ができるでしょう。
頭金が貯まってどの地域に住むかが大体決まったら家探しを始めます。家を探す方法にはいくつかありますから、その違いを理解しておきましょう。また、実際に家を見始めると浮かれてしまって冷静な判断が出来なくなる場合もあります。冷静に判断するための注意点をまとめます。
買いたい家の候補がいくつか見つかったら、実際に家を見に行きましょう。家を見ると、それに惚れ込んでしまって高い値段で買うことになったり、エージェントの押されて、他の物件をよく見ないうちに買うことになってしまったり、ということもあるかもしれません。事前に準備しておくことで、冷静に判断して、最適な家を買うことが目的です。
家の候補は1つではなく、いくつか見つけておきましょう。最初に見つけた1つの候補だけを見てしまうと、それ以降、最初に見た家が自分たちの基準になってしまい、常にその家と比べるようになってしまいます。もちろん、それでも冷静に判断できればかまわないのですが、最初に見る家は自分たちが買えないような高い家だったり、必要もない暖炉がついてたり*5すると、自分たちの本来の基準を曲げてしまうことになりかねません。最初に家を見るときに、一度に数件の家を見ることで、こういった先入観を少しは防ぐことができます。
家を見に行く前に何をチェックするか、項目リストを作っておくと便利でしょう。家を買う目的によって、自分なりのリストを作ります。例えば、しばらく住んだ後さらに別の家を買って今までの家を人に貸そうと思ってる場合、自分の趣味で選ぶよりも、賃貸住宅としての「貸しやすさ」をチェックする事になります。子供がいる場合は部屋数などだけでなく、危険な個所が無いか、Lead Paintではないか、など別の視点が必要でしょう。
項目リストは〇×の物もあれば、数値で示すもの(例えば5段階評価など)もあるでしょう。リスト項目ではないが実際に見て気がついた点なども一緒にまとめておけば、後でどの家にするか判断するときに役に立つと思います。アメリカの住宅市場の特徴は、日本と比べて圧倒的に中古が多く、家は自分で直したり改築したりしながら住んでいく事が前提です。ですから、例えばチェック項目として、「ガレージのドアがリモコンで開くこと」というのがあった場合、リモコンで開かないガレージだった場合でも、×を付けてしまうのではなく、「リモコンの設置に$xxx必要」などと考えるといいでしょう。自分で必要なところにお金をかければいいのであれば、それを割り引いてその家の価値を考えればいいのです。こういったリストを作れば、自分なりの判断基準ができ、間違いない家選びの助けになります。
項目はそれぞれが決めればいいのですが、私個人のアドバイスとしては、1.見た目にこだわらない(見た目のきれいさに惑わされない)、2.家だけでなく隣近所も含めてチェックする、3.項目ごとに優先順位をつける、というのをお勧めします。見た目の良さは特に日本人はこだわりますが、自分が売るときの値段には見た目のきれいさはあまり反映されません(逆に汚い、壊れているのはマイナスになりますが)。また、近所の家が5ベッドルームなのに、そこに1つだけある2ベッドルームの家は、売るときに苦労するかもしれません。
通常は家を見るのは不動産屋を通して、ということになります。直接所有者に連絡するのはFSBOなどの場合に限られるでしょう。他の業界、例えば自動車のセールスなどと比べれば、強引さはそれほどないものの、不動産屋もボランティアで仕事をしているわけではありません。不動産屋としては商売ですから、できるだけ物件を売ろうとします。強引な売り方は流行らず、よくあるパターンは、すごく丁寧に対応してくれて、こちらが買わないといけない様な気にさせるタイプです。ぶっきらぼうのエージェントと付き合うよりは良いですが、こちらも大きな買い物なので、同情する必要はありません。ビジネスと割り切って、クールに行きましょう。
親切に思えることでも、それがエージェントとして早く売買を成立させるために好都合だからやっている事も多くあります。ローンエージェントや銀行、インスペクター、弁護士を紹介してくれる、などはこちらにとっても便利ですが、自分にとって適切な人を紹介してくれてるわけではありません。そのエージェントが今まで一緒に仕事をしていて楽に仕事ができるので、紹介してるだけ、というのが実情でしょう。家探し前に知っておくべきことで書いたとおり、ローンやインスペクターは事前に調べて当たりを付けておきます。
また、オファーを早く出すように催促されたり、「早くしないと売れてしまう」といったセールストークを浴びせられることもあります。もっといろいろ見てみたければ、そのように言えば良いし、良い物件が見つかったと思ったら、こちらが納得いく金額でオファーを出せばいいのです。いずれの場合でも、物件を見てすぐその場でオファーを出す必要はないですから、家に帰ってじっくり条件を見ながらオファーを出すようにすれば良いでしょう。
「この家を買おう」と決まったら、実際の売買手続きに移ります。家の購入は普通の買い物と違って、自分が決めた家がすぐに買えるとは限りません。すべての登記が終わって自分のものになるまでにはいくつものステップがあり、1~3ヶ月ほどの時間が掛かるのが普通です。
欲しいと思う家が見つかったら、オファーを出します。基本的にはいくらで買うか、というのが重要ですが、それ以外にも、クロージング日時、含まれる家電類、引渡し前に行う修理、インスペクションで不具合が見つかった場合にキャンセルできる権利(Contingency Clause)などを決めます。例えば「3日以内にインスペクションを行い、その際に修理に$500以上掛かる不具合が見つかった場合はキャンセルできる」といった内容です。これ以外にも自分が入れたければどんな付帯条件でも入れることができます(売り手が受け入れるかどうかは別の話ですが)。
売り手はオファーに対して、1.オファーを受け入れる(Accept)、2.オファーを拒否する(Reject)、もしくは3.カウンターオファーを出す、のいずれかをしなければなりません。
オファーを出すということは、その条件が受け入れられたら必ず買います、ということです。値引き交渉ができるのはこのオファーを出すときだけです。ここで値引き交渉のテクニックをできるだけ使って安く買おうとする訳ですが、相手も同様にできるだけ高く売ろうとしてきます。この価格交渉を本気でやろうとする人は交渉(Negotiation)に関する本の1冊でも読んでおけばかなり有利になるでしょう。
オファーは価格交渉なのですが、金額以外の条件を交渉して自分の希望価格にさせる事も可能な場合があります。有能な不動産エージェントならそれとなく、売り手のどこを突けば希望価格に近づくか、教えてくれる場合もあります。価格以外の要素としては、クロージング日を相手の希望に沿って設定する、必要な修理を自分で行う、事前にローンを確保しておく、などなどさまざまなものがあります。もし、手がかりが余りなければ、最初はすべてこちらに都合がいい状態で、本当にこの価格ならお得!と思う額で提示してみましょう。Rejectされたら、1つずつ、条件や価格を緩くしていけば良いのです。どうしてRejectされたか、不動産エージェントに聞いてみてもいいでしょう。カウンターオファーが来たら、それをこちらが受け入れても良いし、さらにオファーを出す事もできます。相手にRejectされると、「どんな条件なら受け入れられるだろう」と不安になるかもしれません。でも、Rejectするのも戦略かもしれませんから、気にせず、1つだけ条件を変えて(価格ならほんのちょっと)もう一度オファーを出すのも手です。
ただし、他の買い手が現れて自分よりも売り手に有利なオファーを出していたら、そちらの買い手に物件が渡ってしまうかもしれません。あまり交渉テクニックに頼るよりも、自分の予算と希望条件をしっかりと把握して、現実的なオファーを出していく事が大切です。自分の予算がハッキリしていれば、それ以上の価格ではオファーできないと伝え、それ以外の条件を付けたら受け入れられないか、聞いてみるのも良いでしょう。
どうしても自分のオファーが受け入れられなければ、潔く諦めて他の物件を探す事も大切です。家自体にあまりにも感情移入して「どうしてもこの家でなくちゃ」という状態になると、交渉で不利になるばかりではなく、自分が決めた予算を超えてしまったり、不利な条件を受け入れたりする結果になってしまいます。最初のオファーを出す前に、どこまでなら譲歩できるかしっかり決めておけば、ズルズルと相手のペースにはまる事もないでしょう。
相手がオファーを受け入れたら、よほどの事がない限り、オファーで決められた条件で次々と手続きが進んでいきます。すぐに行うのは物件のインスペクションです。地域によっては物件の構造だけでなく、ペスト、ラドンガス、アスベストなどの検査を行います。インスペクションは売買契約を交わす前に行う必要がありますから、オファーが受け入れられたらすぐにインスペクターの予約をしましょう。インスペクションのときは自分も立会い、インスペクターの説明を直接受けるようにします。
インスペクションに問題がなければ売買契約を交わします。この際には手付金としていくらか払うことになります(例えば売買価格の5%など)。この手付金はエスクローアカウント(Escrow Account)に入れられ、クロージングの日まで売り手は手にする事はありません。ローンを組む場合はこの手付金は頭金の一部になります。
売買契約には、いくらで買うか、クロージング日、売買までに行うべき修理など、オファーで合意した内容が書かれます。ここで売り手が残していくべき電化製品など記入漏れがないか、じっくり読んで確認しましょう。
売買契約が完了したら、住宅ローンを確保します。PreapprovalもしくはPrequalificationを既に取っていたなら、ローン会社に実際に売買契約が完了した事を伝え、必要な手続きをしてもらいます。
ローンを確保するときにその時点で利率を確定するか、利率の確定は後にする(Float Rate)か選択する事になります。Floatを選択した後、利率を確定する事を「Lock」といいます。利率のロックは有効期限が決まっていて、支払うポイントなどによって30日から長いものだと90日まであります。最低でもクロージングまでの期間が必要になります。何らかの理由でクロージングが伸びる可能性もあるので、費用が変わらなければ長いほうが良いでしょう。また、Rate lock feeというのを取られる場合がありますが、これが実際にはポイントである場合もあります。このFeeが掛かるのかどうか、どのような性質のものとして扱われるのか、事前に確認しましょう。
利率のロックは、1度だけしかできないもの、手数料を払えばできるもの、手数料無しで1度だけ変更できるもの、などがあります。利率は毎日(場合によっては数時間の間に)変わる事もあり、いつロックするかで毎月の支払額が変わってきます。ただ、素人が短期的な利率の変動を予測する事など不可能ですから、余り神経質にならずに適当なところでロックするのが良いでしょう。長期的に見て大きく利率が下がったなら、そのときにRefinanceを考えればいいのです。もし可能なら、利率が下がったときにもう一度ロックしなおす選択肢があるローンを探しておけば、少しは気が楽になります(手数料は高くなるかもしれません)。
クロージング(Closing)とは売買契約で決められたとおり登記を変更し、ローンを得て売り手にお金を払い、鍵を受け取って引渡しを行うことです。
クロージングする直前(前日かその日の午前中など)に、最後にもう一度物件の状態を確認します。自分が住む家ならクロージングした後に引っ越すのですから、売り手のものが残っていないか、インスペクションした後に壊れたものがないか、テナントがいた場合はちゃんと出て行ったか、確認しておきましょう。
クロージングコストの正確な額はクロージング前日までにローン会社が教えてくれます。弁護士やローン会社によっては、クロージング当日に必要な合計額(頭金の残り、ローン手数料、弁護士への手数料など諸々の費用全て)を1枚の小切手で払えばいい場合もあります。もし、それぞれの費用ごとに支払う場合は、どの費用がBank Draft、Certified Checkなどで払わなければいけないのか、どの費用は個人の小切手で構わないのか、確認しましょう。個々に費用を払うとかなりの枚数の小切手を書きますから、小切手帳に必要枚数があるかもご確認ください。
クロージング当日は(郵送などで行うのでなければ)ひたすらサインをする作業になります。登記、住宅ローン、保険などさまざまな書類にサインしていき、小切手を書いていきます。現実的にはじっくり読んでからサインする時間はないのですが、気になるようであればどんな書類なのか、数字は合ってるか、くらいは確認しても良いでしょう。
いくつかの書類はNotarize(公証)する必要があり、そのためには写真つきの身分証明書を見せる必要があります。夫婦で所有する場合など、所有者になる全員が運転免許証などの身分証明書を持っている必要があり、サインしなければなりません。
鍵を売り手からもらい、書類が全部整ったら、晴れてその家は自分のものです。多くの人は、すぐに家の鍵を全部、取り替えます。あらかじめLocksmithに連絡しておいて、クロージング終了後に来てもらうように予約しておくと良いでしょう。
家を購入すると賃貸の時には考えなくて良かった税金を考えなくてはならなくなります。
住宅を保有していると、保有しているために課税されますが、逆に控除という形で税額を下げる効果がある、という2つの側面があります。
住宅を保有すると、所有者に対して固定資産税が課せられます。固定資産税は市などが徴税しますが、住宅ローンがある場合はローン会社がEscrowから支払います。そのため、通常は自分で固定資産税を直接払う必要は無く、毎月のローン支払いに含まれる形になります。
固定資産税は評価額によって決まり、評価額が高いとその分、税金も高くなります。評価額は実際の売買価格とは普通は一致せず、それよりも低く設定されている場合がほとんどでしょう。しかし、家が売り買いされるときに、実際に買った額に評価額が変更される場合があるので注意してください。例えば、前の所有者が家の価値が低いときに購入した場合、評価額も低く、その後も評価額は市場価値ほどは上昇しません。そのため、固定資産税は低くなります。しかし、その家を買った場合、その購入価格で評価額が決まり、急に固定資産税が高くなることがありえます。家を購入するときは、評価額がどのように決まり、固定資産税がどのようになるか、あらかじめ計算しておくとよいでしょう。
固定資産税は地方税ですので、連邦レベルでは控除の対象となります。つまり、地方税として払った固定資産税に対して、連邦税は課されないことになります。Tax Returnの際はSchedule Aに記入することになります。
固定資産税は、実際に払った年に控除することができます。例えば、12月に受け取った固定資産税の請求書を、12月中に支払えばその年に控除し、1月になってから支払えば次の年に控除することになります。これを利用してある年は前の年の請求を1月に払い、同じ年の12月にその年の固定資産税を払うことで、1年の確定申告で2年分の固定資産税を計上することができます。次の年は固定資産税は払わず(前年の12月に支払済み)、さらにその次の年に同じことを繰り返し、隔年で払うようにすれば、控除を1年おきに集約することが出来ます。控除を集約すれば、そのままだと標準控除しか使えないような人でも、項目別控除で節税することができます。
ただし、上記の「固定資産税」の通り、通常は固定資産税の支払いは毎月のローン払いに含まれています。控除できるのは、Escrowから支払われた年で、自分がローン返済と一緒に払った年ではありません。そのため、控除する場合はローン会社の明細で、いつ、Escrowから固定資産税が払われたか確認する必要があります。もし、ローン会社に依頼し、固定資産税は自分で払うことに出来れば、上記の隔年払いの節税方法を使うことが出来ます。
住宅ローンの利息も控除することが出来ます。そのための条件は、ローンの借り入れ金額が$1,000,000までで、家が担保になっていること、自宅、もしくは別荘(Second House)として使用していることなどがあります。これらの条件が満たされれば、その年に払ったローン利息が控除できます。その年に支払ったローン利息はローン会社がForm 1098として送付してきますので、それで金額を確認することが出来ます。
ここで注意しなければならないのは、控除できるのは利息払いのみで、毎月の返済額全額ではないと言うことです。住宅ローンの特徴
で解説したとおり、ローン返済のうち、最初の頃は利息がほとんどですが、年とともに元本返済部分が増えていきます。元本の返済は控除にはならないので、仮に固定金利ローンでも、毎年控除できる金額が減っていきます。家を買うときに「住宅ローンは控除になるから節税になる」という話をしますが、控除は利息のみで、その額は毎年減っていく、ということを忘れないようにしてください。
家を買う際に、住宅ローンの経費として「ポイント」を払う場合があります。ポイントを払うとその分、利率が低くなり、結果として利息が少なくなります。税法上ではこれは「利息を前払いした」という扱いになり、家を買ったその年に払ったポイントの全額を住宅ローンの利息として控除することが出来ます。
ただし、同じ住宅ローンのポイントでも、借り換え(Refinance)した場合は、全額控除になりません。返済期間で平均して控除していく必要があります。
家を担保に借りるローン、Home Equity Laonの利息払いも控除することが出来ます。そのためには、ローンの借り入れ金額が$100,000であること、家を買うために借りたローン(First Mortgage)を含め、ローン借入額の合計が家の価値を超えないことが条件になります。この条件を満たしていれば、借りたローンをどのように使っても構いません。
家を買うときに、80%を普通の住宅ローンで借り、頭金を払っても足りない分、例えば10%をSecond Loanとして借りる場合もHome Equity Loanと呼ばれる場合があります。また、買った家を増改築する場合に、Home Equity Loanを借りる場合もあります。これらの場合は、住宅取得のための借金(Home Acquitision Debt)として扱われ、上記の住宅ローンの利息の条件を満たす限り、利息の全額が控除できます。
自宅を売却した場合、夫婦合算申告の場合は$500,000、独身の場合は$250,000までの売却益に対する税金が免除されます。例えば夫婦で、$350,000の家を購入し、$650,000で売った場合、売却益は$300,000ですので、税金はまったく払わなくて良いことになります。
この免除に該当するのは次のような条件を満たす必要があります。
この条件を満たさない場合で、かつ、特例の適用が受けられない場合は、キャピタルゲインとして課税されます。
この条件にはいくつか注意事項があります。まず、2年以上住んでいる、という条件ですが、連続した2年間でなくても構いません。最初に1年住み、3年間は人に貸し、最後の1年にもう一度住んでいた場合でも、合計が2年になれば認められます。
夫婦で確定申告し、この免除を受ける場合は上記の条件の適用方法に注意が必要です。まず、2年以上保有しているのは片方の配偶者だけでも構いません。例えば最近結婚し、一方の配偶者が2年以上保有していて、もう一方の配偶者をTitleに追加した(日本で言う登記簿に名前を載せること)のが結婚したときであっても、保有条件を満たすことが出来ます。
しかし、その家に2年以上住んでいる、という条件は両方の配偶者が満たさなければなりません。上記の例で言えば、結婚する前に2年以上、一緒に住んでいればこの条件を満たします。また、過去2年以内に夫婦のどちらかが免除の適用を受けていると、仮にそれが結婚する前のことであっても適用を受けられなくなってしまいます。
上記の条件を満たせない場合でも、「予見できない事情(Unforeseen circumstances)」であれば、部分的に免除の適用を受けることが出来ます。予見できない事情には次のようなものがあります。
例えば会社の命令による転勤で家を売らなければならない場合、住宅ローンなどの負担に耐えられない雇用形態の変更に当たります。このような場合、仮にその家に住んでいたのが1年だった場合、免除額は半分の$250,000(夫婦の場合)、または$125,000(独身)となります。
また、軍に勤めている場合、配属の変更で2年の条件を満たせない場合があります。軍に従事していて兵役のために引っ越す場合は、2年間の条件を満たしていなくても、免除額が全額使えます。
家を売るときは、お金がいくら手元に残るか気にしてしまうものです。しかし、税法上の「利益」の計算は、手元に残るお金とは別になります。税法上の利益を計算するためには、まず家の取得費用(Basis)を計算します。多くの場合、取得費用はその家を買ったときに払った金額と、その後、改築した(Improvement)費用が含まれます。例えば部屋を追加した場合はその費用が改築として計上できます。傷んだ屋根を直した場合など、現状を維持するための修理は計上できません。また、もし1997年に法律が改正される前に、前の家を売った利益に対して税金を払わなくて済むように繰り越した場合、その利益の分だけ取得費用は減額されます。
売却益は、家を売った価格から上記の取得費用、および売却に掛かった経費を引いたものになります。
売却益の免除が受けられない場合、または免除額を超えた売却益はキャピタルゲインとして課税されます。1年以上、保有していた場合は長期キャピタルゲインとなり、15%の税率が適用されます。1年以下の短期保有の場合、短期キャピタルゲインとなり、通常の所得税率が適用されます。
住宅ローンに関連するエクセルファイルです。住宅ローン計算は毎月の支払いに利息部分と元本返済部分が含まれるため、普通の電卓では簡単にできません。そこで元本や利率などを入力するだけで返済金額などが分かるエクセルファイルを作ってみました。
Microsoft ExcelをインストールしているPCの場合、リンクをクリックすると直接Excelが起動します。ファイルをダウンロードするにはリンクを右クリックして「対象をファイルに保存」を選んでください(Internet Explorerの場合)。
固定金利住宅ローンの毎月の返済額を、元本、利率、返済期間から計算します。
住宅購入価格、頭金、ポイント(ローン手数料)も考慮して計算。ローン利率とポイントから、実質金利も算出します。
住宅ローンがあって、借り替え(Refinance)したときの計算。借り替えて何ヶ月目に元が取れるかが分かります
現在のローン残高、ローン利率、毎月の支払額から、ローン支払い完了日を計算します。さらに、毎月一定額を上乗せして元本返済に充てた場合のローン支払い完了日を計算します。毎月、$100払ったら30年ローンを26年で返せる、などということが分かります。