クレジットヒストリーは自分の借金の履歴ですが、その履歴に点数あるいは偏差値をつけたものがクレジットスコアです。クレジットスコアと、ヒストリ内容は、大学受験に例えると、マークシート試験と小論文といえます。マークシートは機械的に点数が計算され、小論文は人間が細かに見て良し悪しを決めます。ところがマークシートの点数が悪いと、いくらすばらしい小論文を書いても読んでさえくれません。クレジットスコアも同じで、この点数が悪いと、内容によらず、ローン審査が通らなかったり、クレジットカードが拒否されたりします。逆に点数が非常に良ければ、すぐに審査に通ることになります。点数がボーダーラインにあるときだけ、小論文をじっくり読んで判断するのと同じように、ヒストリ内容が審査されます。
以前はクレジットスコアと言えばFICOスコアを指しました(FICOは「ファイコ」と発音されるようです)。しかし現在ではいくつものクレジットスコアが存在し、数値の範囲も違うので混乱の元になっています。
以下のページではFICOとそれ以外のスコアについて解説します。
FICOスコアは300から850点の間で決められ、多くの人は600~800になります。スコアの全米平均は680ほどで、720以上であれば、点数の差はそれほど重要ではなくなり、住宅ローンなどで一番有利な金利で借りられるようになります。ただし近年(2009年)は金融危機のためにボーダーラインが上がって、750程度のスコアが求められるようです。
FICOスコアは次の要素で決まるといわれています。括弧内のパーセンテージはFICOスコアに及ぼす影響のおおよその割合です。
クレジットカードやローンの過去の支払い履歴です。支払いを期限以内にしているか、もし遅れた場合は何日遅れたか、支払いが送れているAccountがいくつあるか、など個人の支払いの習慣が全て分かるようになっています。支払いの遅れは30日以内、90日以内、それ以上などに分けられ、30日以内の遅れはそれほどスコアに影響しませんが、90日になると大きく影響します。また、支払い遅れの回数も影響します。
いずれの場合でも、毎月、全ての支払いをきっちり行い、それをずっと続けるという、当たり前の事をしていればスコアは悪い影響を受けません。逆にきっちり払ったからといってそれでスコアが良くなるわけでもありません。60~65%の人はいつもきっちり払ってるのですから、それで差が付くほどではないのです。
幾らお金を借り入れているか、というのも重要な要素です。大きな額を借りている事自体がすぐに低いFICOスコアの原因になるとは限りませんが、いくつものAccount(クレジットカードや分割払いなど)から、それぞれ大きな額を借り入れていると大きく影響するようです。カードをいくつも作ってどれも残高があるとよくないのです。
また、借り入れ限度額いっぱいに借りている場合もスコアが低くなる原因になります。ぎりぎりまで使っているカードが2つ以上あるとさらに悪くなります。借金を次々と別のところでするタイプと判断されると、将来の返済ができないのではないか、と思われるのです。
逆に分割払いの残高が借り入れ金額に対して減っている場合はスコアが良くなります。例えば自動車ローンで1万ドル借りて、8000ドル返して後2000ドルだけになれば、借りた直後よりも点数は良くなります。繰上げ返済などで借り入れ残高を減らせば、借金を積極的に返す姿勢を示すことにもなります。
ヒストリに特に問題がなければ、記録されている期間が長いほうがスコアが良くなります。その期間の間、問題なくお金を管理できている証拠になり、Lenderも安心してお金を貸すことができるのです。また、全体としての記録の長さだけでなく、1つ1つのAccountの期間もスコアに影響します。クレジットカードを次々に乗り換えるよりも、1つのカードをずっと使っているほうが良いのです。また、いくら期間が長くても休眠状態にあるようなAccountは対象にならないようです。
新しくクレジットカードなどを作るとスコアに影響します。特に短い期間の間にいくつもカードを作ったり分割払いを申し込んだりするとリスクが高い、と判断されます。また、Credit Bureau へのヒストリの問い合わせ回数もスコアに影響します。たとえばクレジットカードを申し込むとカード会社はCredit Bureauへスコアを問い合わせます。問い合わせ自体がヒストリとして記録されます。もしあるカード会社で発行を拒否され、さらに別のカード会社に申し込み、そこでもダメでさらに別のカード会社へ・・・ということをすると、問い合わせ回数がどんどん増え、スコアはさらに悪くなるのです。
カードや分割払いを申し込むときなど「あなたのヒストリを問い合わせますが、構わないですか?」と聞かれることがあります。このとき、個人情報を相手が見る、ということだけでなく、スコアに影響していることも意識する必要があります。
どのような種類の借金をしているかは、上にあげた項目の情報が少ない場合には影響してきます。種類としてはクレジットカード、分割払い(小売店や保険)、消費者ローン、住宅ローンなどがあります。全ての種類が必要なわけではありませんが、その組み合わせがアンバランスだとリスクが高いと思われます。できるだけ借金をせず、必要なものだけに限れば、不自然な組み合わせにはなりません。
FICOスコアは住宅ローンが下りるか下りないかを決めるだけではなく、Lenderがどのくらいの利率で貸すか決める材料となります。myFICO.com
の表紙のページには、FICOスコアがいくらなら何%くらいで住宅ローンが組めるかが表になっています。必ずしもこの表の通りのスコア区分になるとは限らないようですが、一般に720~750以上のスコアであれば、一番有利なローン利率となるようです。点数が下がるにつれ、利率が上がります。
FICO以外のスコアでよく聞くのはVantageScoreです。3つのクレジットビューローがFICOスコアと競合するものとしてVantageScoreを作りました。FICOと比べて考慮する要素が違い、点数の範囲も違っています。このため、FICOスコアとVantageScoreでは直接比較することが出来ません。
Vantageスコアは500から990の範囲になります。FICOスコアと比べると数字が全体的に高くなるので、VantageスコアをFICOスコアと混同すると、実際よりも高いスコアかと勘違いしてしまいます。
VantageスコアはFICOとは違う方法でクレジットヒストリを数値化しています。
| Vantageスコア | FICOスコア | ||
| 支払い履歴 | 32% | 支払い履歴 | 35% |
| 利用率 | 23% | 借り入れ残高 | 30% |
| 借り入れ残高 | 15% | ヒストリの期間 | 15% |
| ヒストリの期間 | 13% | 新規のクレジット | 10% |
| 新規のクレジット | 10% | クレジットの種類と組み合わせ | 10% |
| 利用可能金額 | 7% | ||
注目したいのは利用率(Utilization)と利用可能金額(Available Credit)です。どちらもFICOでは直接、計算要素になっていないものです(実際には間接的に計算に組み入れられています)。
利用率とは現在の借入残高を借入限度額で割ったものです。例えばあるクレジットカードの残高が$500で利用限度額が$2,000であれば、500÷2000=0.25(25%)となります。この割合が低いほうが一般的には(Vantageスコアに限らず)スコアは上がります。
利用可能金額とは利用限度額から現在の残高を引いたものです。上記の例を使うと、$2,000-$500=$1,500となります。
Vantageスコアの面白い(あるいは奇妙な)ところは、利用率、借入残高、利用可能金額が別々の要素になっているところです。借入残高と利用可能金額が分かれば利用率が計算できるにも関わらず、別々の要素にしているということは、いくら割合が少なくても絶対額が多ければスコアが悪くなる場合もあるということです。
スコアを計算する要素が違うので、Vantageスコアから簡単にFICOスコアに換算する方法はありません。
ウェブサイトによってはVantageスコアに0.86を掛ければ概算が出ると書いてあるものもあります。しかし、その概算から大きく外れている(50ポイント以上)人もいるようで、当てにはできません。ローン申請の前にスコアを確認するときは、本物のFICOスコアを入手するようにしましょう。
FICO以外のすべてのスコアは、FICOからの連想でfake(偽物)をもじってFAKO(フェイコと発音するとフェイクに近い)と呼ばれます。クレジットスコアはFair Isaac社が作ったFICOが一番多く使われていますが、1社で独占状態でした。クレジットビューローがそれぞれ独自のスコア計算方法を採用し、FICOとは違う方法で算出するのがFAKOです。FAKOというスコアがあるのではなく、各社独自のスコアを総称してそう呼ぶようです。前のページのVantageスコアもFAKOスコアの1つです。
これらのスコアはクレジットビューローが独自の計算していて、それぞれ範囲が違っています。クレジットビューローのウェブサイトで入手できるのはFICOスコアではなく、独自のスコアである場合が多く、この記事の執筆時点では例えばTransUnionのサイトから得られるスコアはEmpiricaスコアではなく、Vantageスコアのようです。
EquifaxのScore PowerというのはFICOスコアを提供するサービスの名前で、得られる数字はFICOスコアそのものです。注意したいのはFICOスコアはEquifaxだけのものではなく、例えばTransUnionのFICOスコアもあります。ただし、TransUnionのサイトから消費者が入手できるのはFICOスコアではありません。
| FICO | 300~850 |
| Vantage | 501~990 |
| Equifax | 300~850(FICOと同じ) |
| TransUnion Emprica | 150~934 |
| Experian | 330~830 |
執筆時点では事実上、すべてのローン会社(銀行など)は住宅ローンなどで貸し付ける際にFICOスコアを参照します。Vantageスコアなどは使われていません。そのため、自分のスコアを確認するときは必ずFICOスコアを入手するようにしましょう。
MyFico.com
Suze Ormanとタイアップしているサイト。
Equifax
Score Power