銀行

アメリカの銀行には日本と違う仕組みがいくつもあります。小切手(Checking Account)や定期預金(CD)など、アメリカの銀行の賢い利用方法を詳しく解説します。

銀行口座の開設

銀行口座の作り方

アメリカで銀行口座を開くのは比較的簡単です。普通の銀行*1であれば、支店に出向けばその日に口座を開くことができます。銀行で口座を開くには、次のものが必要です。

身分証明書

アメリカで運転免許を取った場合、免許証があれば身分証明になります。また、免許を取っていなくてもパスポートがあれば良いようです。免許を持っている場合でも念のためにパスポートも持って行ったほうが良いでしょう。また、免許以外に自身を証明するものとして、クレジットカードやATMカードなど、自分の名前の入った何らかのカードを見せるようにいわれる場合があります。日本のクレジットカードや銀行のカードなど、とにかく自分の名前が入っているものを持っておきましょう。

SSN または ITIN

アメリカでは個人の税金は全て社会保障番号(Social Security Number)で管理されています。銀行に口座を作ると利息が発生し、その利息は収入としてIRS (Internal Revenue Service = 米国内国歳入庁)に自動的に報告されます。その時に個人を特定するものとしてSSNが使われるわけです。SSNを持っていない外国人はITIN(Individual Taxpayer Identification Number)を取得することでSSNの代わりにすることができます。

銀行によってはSSNを持っていないと口座を開けない場合もあります。しかし、SSNを持っていなくても現在合法的にアメリカに住んでいることを示せれば、その場でITINの申し込み用紙(Form W-7)を記入して、申請もしてくれる銀行もあります。例えば私の友人の場合、長期出張で滞在し、アメリカの免許もSSNもありませんでした。しかし、住所を証明するものとパスポートを見せたら、すぐにITINの申請書を出してくれ、その場で口座を作ることができました。こういったことは大手の銀行のほうがすぐにしてくれるかもしれません。また、銀行がITINを取ってくれなくても自分で申請することもできます。IRSのフォームはここ からダウンロードできます。

現住所を証明するもの

現住所を証明する方法としていちばん簡単なのは、公共料金の請求書です。自分の名前で自分が住んでいる住所宛に送られてきた請求書などを持っていきましょう。電話、電気/ガス、あるいはケーブルTVなどの請求書でもOKです。念のために複数持っていけば安心です。また、まだ引っ越したばかりで請求書がない場合はアパートのリース書類(住所、名前、サインがあるもの)を持っていけば認められる場合もあるようです。口座開設後、この住所宛に銀行から書類が送られてきます。

Initial Deposit (最初に預け入れるお金)

口座を開くわけですから、当然預けるお金が必要になります。口座の種類によって最低の預け入れ額が決まっていますので、できればそれ以上を用意しておきましょう。現金のほか、トラベラーズチェック、自分宛のチェック(小切手)、あるいは自分自身の小切手(他に銀行口座を持っている場合)などが使えます。気を付けないといけないのは、口座を開いてもすぐに引出しはできない場合があることです。トラベラーズチェックなどの場合は、現金化されて口座から引き落とし可能になるまでに数日間程度かかる場合があります。

口座を開く時に知っておくこと

口座を開く時にはいろいろなことを聞かれます。慣れてない人はあらかじめ準備してから行くと良いでしょう。

PIN (暗証番号)

暗証番号のことを一般的にPIN(Personal Identification Number)と言います。ATMのPINは日本と同じで大抵4桁ですが、6桁やそれ以上を指定できる場合もあります。いずれにせよ、人が推測できない番号を選びましょう。また、口座開設のときにその場でキーパッドを使って入力するように言われます(書類に書いたりはしません)。この時、周りの人や銀行員にさえも見えないように入力したほうが良いでしょう。

Mother's Maiden Name

電話で銀行に問い合わせをする時など暗証番号のほかに本人を確認するため、自分の母親の旧姓(Mother's Maiden Name)を聞かれることがあります。これは母親の旧姓は通常、家族やごく親しい人しか知らないからです。仮に養子縁組などで結婚の時に母親が姓を変えていなくても、その姓が使われます。ローマ字でスペルがすぐに言えるようにしておくと良いでしょう。登録されたMaiden Nameのスペリングを忘れないように。また、銀行に電話することがアメリカでは意外と多いです。その時、Mother's Maiden Name以外にも、現住所や最近行った取引(引出しや預け入れ)を本人かどうか確認するために聞かれることがあります。

最初のチェック番号

チェックの最初の番号を何番にするか聞かれる時があります。普通は100番から始まるようですが、チェックの番号は支払った先を特定するために便利ですから、必要があればもっと大きい数字から始まるように指定しても良いでしょう。チェックは後日、郵送で送られてきます。

小切手

Checking Accountに口座を作ると、その場で仮の小切手をもらうことができます。この小切手は口座番号が書かれていますが、自分の名前や住所が書かれていません。自分の名前、住所が入った小切手が送られてくるまではこの仮の小切手に使うたびに自分の名前と住所を書いて使います。通常の買い物はこの仮の小切手でできますが、高額なものや現金化するのには使えないことがありますので注意してください。通常、仮の小切手は10枚程度で番号が90~99番までとなってます。本物の小切手が送られてきたらそちらを使うようにしましょう。

Debit Card

日本でもデビットカードが使われ始めたようなので知っている人も多いと思いますが、Debit Cardの仕組みを説明しておきます。Debit Card は銀行が発行するATMカードそのものについている機能で、物を買ったときにすぐに口座からその金額が引かれるのがデビットカードです。Debit Cardは、買い物をしたときにレジにあるキーパッドから暗証番号を入力し、サインはしません。

スーパーなどで使う場合は、購入と同時に口座から現金を引き出す事もできます。レジで「Money Back?」と聞かれたときに、「$20 Please」などと言うと購入金額に$20を追加して、レジの中から$20を手渡してくれます*2

クレジットカードとの違いで重要なのは、クレジットカードのように後から請求書がくるのではなく、使った瞬間に支払い金額が自分の口座から引かれることです。ですから、自分の口座(Checking Account)に支払額以上の残高がないと使えません。小切手を書くのと同じ事を電子的に一瞬で行うのがDebit Cardと考えると良いでしょう。そのためか、Check Cardと呼ぶ銀行もあるようです。

クレジットカードとは仕組みが違うものの、ほとんどのDebit CardにはMaster CardやVISAなどのクレジットカード会社のロゴが着いてます。クレジットカードを使えるお店なら、クレジットカードのようにサインをして使う事が出来ます。サインをして買った場合でも口座からお金がすぐに引かれる事には変わりありません。

Debit Cardの注意点

Debit Cardの購入限度額は一般に$300~$1000程度と、それほど高くありません。不正使用された場合でも限度額が低いので損害も低くなりますが、高額の買い物をする時は使えないなど、不便なこともあります。

また、スーパーなどでは「Credit or Debit?」と聞かれる場合があります。この場合、Debitとして使うとPINをキーパッドで入力して購入します。Creditとして使えばサインをします。PINとサインの違いだけのように思われますが、デビットとして処理されると、銀行によっては手数料を取るところがあります。クレジットとして処理されれば、手数料を取られません。そのため、「Credit or Debit?」と聞かれた場合、Credit扱いで処理したほうがいいようです。

ただし、執筆時点(2002年12月)では、Credit扱いだと消費者には負担は掛からないものの、お店が手数料を負担している実態があります。そのため、大手スーパーやディスカウント店などがCredit扱いに反対する運動や、Credit Card会社を不当に手数料を取るとして訴える動きがあります。将来、手数料は変わるかもしれませんので、常に自分の銀行のDebit Cardがどのようになっているか、注意してください。

私個人はDebit Cardを使うことは余りありません。人前で暗証番号を入力するのがいやなことと、カードを使う必要があればCredit Cardを使うことが多いからです。Credit CardがAmerican Expressであるために使えないお店でも、Debit Card がならVISAかMasterCardだから使えるという場合もあるでしょうから、必要に応じて使い分けると良いでしょう。いずれにしても使った金額をきちんと記録して、その月の明細書と比べてあっているか、必ず確認するようにします。

口座が作れたら

口座が作れたからと言って安心してはいけません。1~2週間で銀行から書類などの郵便がいくつか来ます。それぞれ、自分の名前や住所などを確認して、間違いがあればすぐに銀行に連絡しましょう。また、3週間たっても何も送られて来ない場合も連絡して、正しい住所が登録されてるか、手続きがきちんとできているか確認しましょう。

小切手の書き方

小切手は口座を作る時に同時に注文します。最初の小切手が送られてきたら自分の名前や住所を確認し、間違いがなければ仮の小切手ではなくこちらを使い始めましょう。

小切手に書く内容は慣れれば大した事ではないのですが、最初は戸惑うこともあるかも知れません。

Cancelled Check

支払いが終わり、相手が現金化した小切手は、銀行から明細書が送られてくる時に一緒に送られてきます。小切手の裏側には相手が入金した銀行のスタンプが押されていたり、相手のサインが書いてあったりします。この使用済みの小切手を「Cancelled Check」と言います。Cancelled Check は支払いをした証拠として領収書の代わりになりますから、一定期間とっておくと良いでしょう。万が一、相手から未払いの通知がきた場合など、これが支払いをして相手が既に現金を受け取っている証拠になります。また、税金の申告などでも経費や寄付金の証拠になりますから、とっておくといいでしょう。

最近は銀行の経費削減のため、Cancelled Checkを送ってこないところが多いようです。Cancelled Checkの電子イメージだけ保存するところが増え、明細の最後のページに縮小画像がついているものもあります。口座を開設する時に、Cancelled Checkは送られてくるのか、縮小イメージが明細書についているのか、あるいはこちらから請求しないといけないのか、確認しておくと良いでしょう。

いずれの場合も、普段は帳尻が合っていれば良いので、Cancelled Check自体は証拠として念のために取っておくに過ぎません。支払いの証拠を示さないといけない場合は、普段は送ってこない銀行でも、請求すれば銀行発行のコピーを送ってもらえます*6

*1:ここで「普通の銀行」とは支店を持った銀行を指しています。オンラインバンクなどは少し手続きが違うこともあります。
*2:Money Backの上限は$100~200程度です。これ以上の金額はレジでは引き出せません。
*3:支払い先によっては未来の日付の小切手を受け付けない場合があります。
*4:Hundred, Forty, Thousandなど間違えやすいので、慣れないうちは小切手帳に良く使う数のスペルを書いておきました。
*5:左が余っていたらOne Thousandなんてのを書き加えられるかもしれません!
*6:無料とは限らず、手数料が取られる場合もあります。

銀行のサービス

口座の種類

アメリカの銀行に行くと口座の種類やその規則が違い、戸惑う事もあります。アメリカのルールを知らずに損をする事がないように、1つ1つ見ていきましょう。

Checking Account

当座預金の事で小切手を切るために必要になります。通常は利息がつきませんが、利息がつくタイプのChecking Accountもあります。Checking Account を持つと普通は小切手帳とキャッシュカードが手に入ります。小切手帳は最初に有料で買う場合とタダでもらえる場合があります。キャッシュカードは日本の銀行と同じように、ATM*1で現金を引き出すのに使います。

Checking Accountでは毎月手数料を取られることもあります。まずは手数料が取られない口座を探しましょう。大手の銀行なら$1000以上預けるなどの条件で手数料が免除になります。小規模の銀行なら Free Checking と言って手数料が掛からないことを売りにしているところもあります。いずれにしても、手数料が掛からない条件をよく確認してから口座を開きましょう。 また、手数料を免除にするために多額の預金を要求するところは避けたほうがいいかもしれません。例えば手数料が毎月$5掛かるが、$2000以上預ければタダになると言う場合。$2000もあれば利率が3%よりも高い別の口座(Checking以外)に貯金すればCheckingで手数料を払っても元が取れます*2

Savings Account

日本の普通預金に相当するのがSavings Account です。利息がつき、出し入れも自由です(回数に制限がある場合もあります)。普通はChecking Accountを持っている銀行にSavingsも開き、すぐに使わないお金はSavingsに入れ、支払いなどでCheckingのBalance(残高)が減ってくるとSavingから移す(Transfer)します。口座間のお金の移動はATMで簡単にできます。Savings Accountの利息は他の安全な投資と比べて低いのが一般的です。Savingsには生活費と、いざと言うときのために必要なお金を入れておき、余剰資金があればSavingsよりも有利な預け先を探すといいでしょう。

Savings自体はCheckingと違い、小切手は発行できません。またATMからの引出しにはATMカードが必要ですが、SavingsだけではATMカードなどは発行されないかもしれません。CheckingとSavingsを同じ銀行に持って、1つのATMカードで両方の口座にアクセスするのが一般的です。また、SavingsもMinimum Balance(最低預入れ額)が決まっていて、それを下回ると毎月、手数料が取られます。SavingsだけでMinimumが決まっている場合と、CheckingとSavingsを合わせていくら以上ならどちらにも手数料が掛からないと場合があります。Savings以外にも、その銀行にある口座全ての合計残高がいくらなら手数料がいらない、と決まっている事もあります。その場合、CD(後述)やローン(つまり借金!)まで残高計算に入れる場合があります。銀行もできるだけ自分のところで取引して欲しいので、たくさん預ければ有利に(見えるように)しています。

Money Market

SavingsとCheckingの両方の特徴をもった口座です*3。Money Market Checkingとも言われ、1ヶ月の間に3枚まで小切手を切る事が出来ます。また利息がつき、Savingに近い利息が支払われます。ATMカードも発行してもらえ、ATMからの引出しは自由です。この口座もMinumum Balanceが要求されます。

私自身は、Money Marketの使い道が余り思い当たりません。アメリカで普通に生活していると、毎月支払わなければいけないもの(家賃、電気、電話など)だけで3枚以上、小切手を切る必要があります。学生で寮に住んでいるなど、自分で直接小切手を切る必要がない人には、利息も付くので良いのかも知れません。

Certificates of Deposit (CD)

日本の定期預金に一番近い形の口座がCDです。CDでは利息が固定で一定期間預け入れます。最低預入れ額が設定されていますので、ある一定額以上でないとCDは作れません。日本の定期預金との違いは、 中途解約できないことです。日本の定期預金は中途解約しても、それまでの利息を支払ってもらえます。アメリカでCDを中途解約すると利息はそれまでの分は払ってもらえますが、Penalty(違約金)を支払わないといけません。例えば$1000を期間1年のCDに入れて6%の利息だった場合を考えて見ます。Penaltyが「Simple Interest(単利)の半分」と決まっていた場合、$1000 X 6% ÷ 2 = $30 となります。預金した次の日でも、満期日の1日前でもこのPenaltyは変わらず、必ず$30取られます。半年経って利息が$30ついているとき*4に引き出すと、Penaltyが取られて全く利息が残りません!

利息が固定で必ずもらえるのは良いのですが、出し入れが自由でないのがCDの最大の欠点です。利息が非常に高く、当面の間絶対に使わないお金があればCDを考えてもいいでしょう。しかし、絶対に使わないお金があるのなら債券などの方が利率も有利です。しかも、条件はCDとほとんど変わりません(一定期間で満期になり、利率は固定)。そもそも、CDに預け入れられたお金は銀行が他の債券などで運用する場合もありますから、銀行は中間業者に過ぎないと言えるでしょう。また、CDに近い利息で預入れ自由な投資信託なども運用方法としては使いやすいでしょう。CDに入れられるようなお金がたくさんあるようならCD以外の運用を積極的に考えるべきでしょう。

アメリカの銀行の注意点

明細書

アメリカの銀行に通帳はありません。自分で出納を管理しておき、毎月送られてくる明細書を確認するようにします。小切手の支払いなどは書いた時に残高が減るわけではありませんから、お金を間違って引き出して後で小切手が現金化されなかった、ということがないように残高を常に把握する必要があります。小切手と一緒に支払い先を記入するBalance Bookが送られてくるのでそれを使っても良いし、Quickenなどのソフトウェアを使えば、計算も行ってくれて楽に管理できます。

振込み

銀行にお金や小切手を振り込む際には注意が必要です。まず、小切手の振り込み方法ですが、ATMで行う場合、小切手の裏に「Endorse(裏書)」する必要があります。これは自分が口座を作ったときのサインを書きます。

入金した金額がすぐには使えるようにはなりません。ATMから封筒が銀行に送られ、実際に入金処理が行われてからになります。小切手の処理は近年、早くなりましたが、それでも2~3日掛かるのが普通です。銀行にもよりますが、入金した額のうち、一定額(例えば$100)だけはすぐに引き出せるようになる場合もあります。

入金の際には最近のATMの場合、小切手を直接機械に入れることができます。このタイプのATMでは小切手に書いてある金額も自動的に読み取ってくれます。ただし、手書きや金額の文字が小さい場合などは読み取れない場合もあります。その際は自分で金額を入力する必要があります。

直接読み取ることができないタイプのATMの場合は小切手を備え付けの封筒に入れます。Depositの操作をすると封筒を入れるよう促されるので入金口に封筒を入れます。その後、自分で金額を入力します。もし、複数の小切手を1つの封筒に入れた場合、合計金額を入力します。

現金を入金するのもほぼ同様です。機械読み取り式のATMではお札を入れると枚数を数えて金額を確認することができます。アメリカの場合、お札の皺がひどかったり、切れていたりすることもあるので気をつける必要があります。

機械読み取り式で無い場合、小切手と同様に封筒で入金できます。しかし、これは余りお勧めできません。小切手と同じように自分で金額を入力するのですが、封筒から現金だけ引き抜かれ、入力した額が入ってなかった、と言われ、全額が正しく入力されないことがあるからです。実際に封筒にその金額を入れ忘れる人もいるでしょうが、盗まれたのか、入れ忘れた(=最初から入ってなかった)かの証明は難しく、面倒です。そこで、現金の場合は面倒でも支店の窓口に行って入金しましょう。その場で確実に入金処理をしてもらい、レシートをもらいます。そうすれば、目の前で行員が金額を確認するので、間違いがなくなります。

*1:Automated-Teller Machine = 現金自動支払機。日本でいうCDに相当する。アメリカでCDとは言わないので注意。
*2:アメリカの現在の利回りの良い安全なMoney Marketなどは3%以上の利率です。
*3:私自身はMoney Market 口座を持ったことがありません。
*4:正確には複利計算なので、満期日の半分に来たときは$30よりも少し多くなっている。説明のため簡単に単利で計算しています。

銀行の賢い使い方

銀行の位置付け

日本でもアメリカでも、普通に生活するために銀行口座は無くてはならない存在です。しかし、いつでも銀行を使えばいいとは限りません。銀行口座には、得意なところと不得意なところがありますから、私たちに有利になるところだけを賢く使いましょう。

なぜ銀行口座が必要か?

給与の振込先として、小切手での支払いのため、いつでも使えるように緊急資金を預けておくなどが考えられるでしょう。では、普段使う生活費+緊急資金以上のお金があったらどうするでしょう?利息がSavingsよりも有利なCDにする?私の考えではそれは勿体無いと思います。銀行以外にも安全で利率が良い運用先はありますから。つまり、銀行口座は、1.普段の生活に必要なお金を使うため、2.緊急資金を預けておくための2点に絞られるでしょう。銀行口座は必要ですが、それが運用先の全てであると考える必要はない訳です。

Debitカード

日本でも普及が始まったようですが、アメリカではほとんどの銀行ATMカードはDebitカードの機能も備えています。アメリカでは「小切手を切るのと同じで、しかも簡単」という説明の仕方をしています。Debitカードで買い物をすると、即座に銀行口座から使ったお金が引かれます。クレジットカードは毎月まとめて払うまでお金は引かれませんから、そこがDebitとCreditカードの違いです。

ところが、DebitカードにもVISAとかMasterとかのロゴが入っています。つまり、 あたかもクレジットカードのように使えるのです。お店側としてはクレジットカードの機械がそのまま使えて、お客側としては現金や小切手と同じ感覚で使えるわけです。注意としてはDebitはあくまで小切手の即時決済と同じなので、使うときに購入金額以上の残高がChecking Account に残ってないといけません。残高不足だと使えないわけです*1。Debitカードは先にお金を預けている訳ですから、クレジットカードのように事前審査がありません。大抵は口座を開いたら自動的にDebit機能付のATMカード(それをDebitカードと呼ぶ)をくれますから簡単です。

ただし、Debitカードはあくまで小切手の代わりなのでクレジットヒストリーにはなりません。クレジットヒストリーを作るには、本物のクレジットカードを使う必要があります。

CheckingsとSavings

小切手の支払いはCheckingでないとできませんが、利息は付きません。Savingsは利息はつきますが、支払いは出来ません。そこで、支払いに必要な額だけCheckingに入れておき、残りはSavingsに入れて利息を得て、必要に応じてCheckingにTransferすることになります。アメリカの人のなかには、このCheckingとSavingsの管理に非常に気を使って、Checkingに無駄なお金ができるだけないように細かくTransferをしている人がいます*2。私はこの方法は余りお奨めしません。確かにCheckingは利息が付きませんが、Savingsの利率がそれほど良い訳ではありません*3。例えば$1000の支払いを細かく管理して1週間長くSavingsに入れておいたとしても、利息はたったの57セントにしかなりません!(利率=3%として)

また、Checkingを常にぎりぎりに保っていても、もしちょっとした間違いで残高不足になれば、手数料を取られるばかりでなく、小切手が現金化できないと信用も落ちます。DebitカードなどはCheckingからすぐに引かれますから、特に問題になりやすいのです。せっかく利息を稼ごうとやっていても、手数料を取られては意味がありません。
ですから、余裕資金はSavingsに入れておき、支払いなどの資金はある程度まとめてCheckingに入れておいたほうが、安心して使えるし、気苦労が少なくて済みます。

賢い銀行の捉え方

賢く銀行を利用するには銀行を資金運用先として考えるのはやめましょう。銀行の使い方としては、先にも述べたようにあくまでも生活に必要な手段と考えるべきです。

どうして資金運用に向かないのか

銀行のSavingsは他の運用先と比べると利率が低くなっています。また、CDはSavingsより利率は良いものの、引出しに制限があり、必ずしも私たちに有利にはなりません。FDIC*4加盟の銀行なら$100,000まで預金は保証されます。しかし、そのために低い利率で我慢しなければいけないわけです。銀行はその業務のために多くの支店やATMを備え、設備投資にお金が掛かります。しかも行員の人件費や、広告費など他の運用先に比べて(預金者にとってメリットの無い)費用が掛かります。ですから、あくまで銀行=サービス業と考えて利用しましょう。

CD(定期預金)のLaddering

Certificates of Depositの説明で触れましたが、アメリカのCD(定期預金)は途中で解約する事ができません。どうしても中途解約する場合はペナルティを払わなければなりません。そのため、いざと言うときのための予備費をCDに預けるのは抵抗があります。

そこで、お金が必要になったときのことも考えて、CDをLadder(はしご)型にする方法があります。例えば5年物のCDにすべてを入れてしまうのではなく、1/5ずつ、1年もの、2年もの、3年もの・・・と分けて預け、満期になった分から5年ものにしていきます。すると、貯蓄額全体の1/5は1年毎に引き出し可能になり、お金が必要になったときにはそれを使えば、CDすべてを解約せずに済みます。この方法はもっと短期間、例えば3ヶ月や1ヶ月毎に満期にする事もできます。

この方法は余剰資金を比較的大きな買い物のために取っておく場合などにも有効でしょう。車の買い替え、電化製品や家具の購入など、自分で買うタイミングを決められるものは、CDが満期になったときに買うようにするのです。

緊急時の資金

銀行を資金運用先ではなく、いざと言うときのためのEmergency Fund(緊急時のための資金)を置いておく場所と捉えるのも良いでしょう。現金がすぐに必要になると言う事もまれかとは思いますが、ある程度の額はいつでも使える状態にあれば、安心と言えるでしょう。

フィナンシャルプランナーによってはEmergency Fundを上記のLadderingで運用しておくことを推奨しています。もちろん、1ヶ月や3ヶ月の短い周期でLadderingして、次の満期まで待てれば構いません。しかし、本当に緊急事態(家計的に、という意味ですが)が発生したのなら、ペナルティを払ってでもCDを解約して対処しなければならないでしょう。緊急な事が無ければ、結局使わないお金なのですから、短い期間で低い利息のCDに繰り返し預けるよりも、ペナルティ覚悟で長めの定期預金(やその他の運用方法)を取り、その分、利息を増やしたほうが良いはずです。もしペナルティが心配なら、ペナルティに相当する金額も追加して運用すれば良いでしょう。*5

*1:逆にこの制限を使って、一定額を口座に入れておき、それ以上無駄遣いしないようにする、という方法を薦めてる人もいます。ついついカードで要らないものまで買って無駄遣いしてしまう、というタイプの人には良いかもしれません。
*2:最近はインターネットでもTransferができるので、ATMまでいかなくても済みます。
*3:ここ数年で言えば1%~3%程度
*4:Federal Deposit Insurance Corporation = 預金保険機構に相当
*5:そもそも、(ここまで書いておいてなんですが)緊急時にすぐに支払いが必要と言う事もそう滅多にあることではありません。急な病気や事故でも医療費は大抵、後から請求書が送られてくるので、それまでに資金を用意できます。クレジットカードがあれば大抵の支払いは何とかなるでしょう。カードの限度額以上でさらに現金を急に払わなければいけない状況は、ほとんど思いつきません。

FDICの保証

FDICとは?

Federal Deposit Insurance Corporation (FDIC)とは法律に基づき米国政府が運営する機関で、一般の銀行預金を銀行の破綻から保護する役割を担っています。銀行が破綻しても、一定の金額までは預金が保証され、預金者がお金を失うことがないようにしています。FDICは米国政府が完全に後ろ盾となっており*1、保証されている金額までは安全と言えます。

保証範囲

対象となる預金の種類

FDICの保証があるのは次のような預金口座です。

上記のうち、マネーマーケット口座(Money Market Accounts)はマネーマーケットファンド(Money Market Fund)とは違うことに注意してください。ファンドのほうはFDICの保証はありませんが、銀行で開くことのできるマネーマーケット口座には保証があります。

保証金額

金融危機の対応として時限立法により、保証となる金額が$100,000から$250,000まで引き上げられました。この法律は2013年12月31日で期限が切れるため、法律の改正がなければ2014年には$100,000に保証の上限は戻ってしまいます。但し、リタイアメント口座に関しては元々$250,000だったため、このままの金額となります。対象となるのは元本と利息を含めた合計金額になります。

保証金額は1銀行当たりで、さらに1つの銀行の中でも1つの口座名義につき適用されます。名義を変えれば1つの銀行でも$250,000を越えた保証を受けることができます。区別されるのは次のような名義です。

それぞれ$250,000まで保証されますが、共同名義の場合は各人それぞれに$250,000の保証が適用されるので、夫婦で共同名義口座を開いた場合、合計で$500,000まで保証されることになります。

なお、保証金額には元本、および銀行が破綻した当日までの利息が含まれます。

銀行が破綻するとどうなるか?

保証金額以内の場合

銀行が破綻した場合、FDICが取る行動はかなり早く、通常であれば2営業日以内に別の銀行に預金が引き継がれ、保証範囲内の預金はすぐに使えるようになります。万が一、破綻した銀行の引き受け先が見つからなかった場合は小切手が送られてくることになります。

保証金額を越えた場合

保証金額を超えた場合、その分が全て失われることはありません。破たん処理の過程で清算が進むと、回収できたお金に応じて預金者に支払われます。例えば破綻後6ヶ月目に保証金額を越える部分の50%が返金され、1年後にさらに20%が返金される、ということが有り得ます。返金は100%にはならず、多くの場合、7~8割程度になります。

注意点

FDICの保証は加盟している銀行にしか適用されません。もっとも加盟していない銀行を探すほうが難しいので、実質的にはどの銀行も加盟していると考えてもほとんど問題はありません。聞いたことがない銀行、オンラインバンクなどで念のために確認したい場合は、FDICのウェブサイト で確認することができます。

*1:「Backed by full faith of the United States goverment」という表現が使われます。

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